| 数学 「将棋は歩から」 〜読書案内(4)〜 |
NO.17 |
98.8.15作成
今回もまた「将棋と卓球と数学の部屋」に関連のある本を紹介していきたいと思います。
将棋の本の名作―。
「将棋は歩から」(上・中・下) 加藤治郎 著

(注)本の中の将棋に関する内容を引用させて頂きます。
◆序章
歩の使用法には何種類あるだろうか?
実は、そういう著者自身も知らない。おそらく他のプロ棋士も、みな知らないであろう。ということは、歩にはそれほど多くの使用法があるからである。
しかしそのなかから、もっとも重要なものをといわれれば、次の18種類をあげることができる。
1.前進の歩 2.交換の歩 3.突き捨ての歩 4.成り捨ての歩 5.垂れ歩 6.継ぎ歩 7.焦点の歩 8.死角の歩 9.ダンスの歩 10.控え歩 11.単打の歩 12.十字飛車の歩 13.合わせ歩 14.蓋歩 15.中合いの歩 16.連打の歩 17.底歩 18.端歩
◆1章 前進の歩
[2]前進の歩と数学
問. 歩の数は全部で何枚ありますか?
答. 先手9枚、後手9枚、計18枚。
問. ご明答。では先手番のとき、みなさんはどの筋の歩をいちばん先に突きますか?
答. ▲7六歩あるいは▲2六歩。
問. 後手番のとき、先手の▲7六歩、▲2六歩に対しどの筋の歩をつきますか?
答. △3四歩あるいは△8四歩。
なかなかよろしい。だいたい歩の突き方をよく知っているようである。
問. 先手が1局の将棋で全部の歩を1格ずつすすめるとすれば何手かかりますか?同様に後手は何手かかりますか?
答. 両方とも9手。
どうもこれまでの質問は、みなさんにはやさしすぎたようである。では多少難問を呈するとしよう。
問. 先手が第1着に毎局違った筋の歩を突き、後手もこれに応じて毎局違った筋の歩を突くとすれば、先手後手計2手で何種類の型ができるだろうか?
答. 9×9=81種類。
ご明答。では、ぐんとむずかしい質問をしよう。
問. 先手が9枚の歩を全部突くとして、毎局突く順序をかえていったら何種類の路線ができるだろうか?またこれに対して、後手もおなじように毎局歩を突く順序をかえたなら、先手後手合計何種類の路線が生ずるだろうか。

答. ムニャ、ムニャ…。
ちょっとやそっとで答えられないのが当然である。最初の答え、つまり先手だけの路線の種類は次のとおり。
1×2×3×4×5×6×7×8×9=362,880
362,880路線ともなると、1日1局指したとして、いったい何年かかるだろうか。
362,880÷365=994…余り70
これは994年と70日というわけである。
次に、先手後手合計何種類になるかという答えは、次のとおりである。
362,880×362,880=131,681,894,400
これを年になおすと
131,681,894,400÷365=360,772,313…余り155
これは3億6077万2313年と155日となる。
一生どころか人類が地球に生存しているうちにも、ちょっとばかり指し終えるには困難な年数である。まあ、こんな試みはあきらめたほうがよいようだ。
9枚ずつ計18枚の歩を、毎局筋をかえて突くだけでも1300億を越える路線が生ずるのだからおそろしい。しかもこれは、単に歩を1格すすめるだけの話しである。もし、他の駒の動きをこれに加えたら、どんな数字がでてくるのか、電子計算機でも手に負えないような、無限の変化となりそうである。
ほんの一部分だけ紹介しましたが、くわしくは、本を買って読んで下さい。