厚木西高校卓球部通信 No. 300 2007. 1. 8

卓球DVDから学ぶ

「試合から学ぶ戦術・技術 第48回世界選手権ブレーメン大会編」男子編から

@フォアハンドとバックハンド
・強靱な肉体が生み出す圧倒的なパワー。自由自在にボールをコントロールする
 正確さ。そして、時間を操るかのごとく変化する打球タイミング。それらの世
 界基準に注目して、トップ選手のフォアハンドとバックハンドを見ていこう。
フォアハンド
・ドイツのエースとして活躍したボルのフォアハンド。ボルのフォアハンドドラ
 イブは回転量の多さが特徴だ。ボールを十分に引きつけ相手の動きを見ながら
 3球連続でミドルを狙って得点している。このラリーからは世界基準のボディ
 ーワークを学ぼう。バック側に食い込んでくるボールに対してスタンスを広め
 に取り、上半身をひねってスイングのスペースを確保。素早く体勢を立て直し
 相手のミドルを突いて得点している。
・馬琳の強烈なフォアハンド。瞬時に、大胆に動いた判断力と回り込みの速さが
 光るプレーだ。次は、馬琳から台上ドライブのテクニックを学ぼう。甘いスト
 ップに対して、ストレートにドライブ。早いタイミングでボールをとらえるた
 めにボールに近い右足を踏み込んでスイングしている。
・日本のエースとして奮闘した吉田。ダイナミックなスイングから放たれるフォ
 アハンドドライブは、世界でも十分に通用する。
・現在、世界一のフォアハンド・テクニックを身につけているといっても過言で
 はない王励勤のプレー。広いスタンスとダイナミックなスイングから放たれる
 のはまさに超人的なシュートドライブだ。王励勤のフォアハンドを、もう1つ
 紹介しよう。相手のループドライブの回転量をものともせず鋭いスイングで打
 ち返している。世界基準のスイングスピードだからこそ成せるプレーである。
バックハンド
・ここからは、バックハンドを紹介していこう。ボルは、相手の3球目攻撃に対
 して素早く体勢を立て直し、ボールの右側をとらえて打っている。左効きのボ
 ルのバックハンドドライブは相手のフォア側へ逃げるように飛んでいく。
・個性的なプレーを見せるエロワ。これは、得意のプッシュ性バックハンドだ。
 相手のリズムや、ラケットの角度を狂わせるのに有効なテクニックである。
・ワルドナーのノースピン・バックハンドドライブを紹介しよう。手首を使わず
 に打つことでボールのスピンを抑え相手のミスを誘っている。ノースピン・バ
 ックハンドドライブのほかにも「はじくバンクハンド」などワルドナーは、た
 くさんのバックハンド・テクニックを披露してくれた。卓球の世界基準を大き
 く前進させた偉大な選手、ワルドナーのテクニックは、ブレーメンでも健在だ。
・日本期待の若手、岸川。自由自在なバンクハンドを武器に格上の選手に勝利し
 た。台からの距離を瞬時に調整しながら連続でバックハンドを打つ。このテク
 ニックを参考にしてほしい。
・呉尚垠の、まるで大砲のように強烈なバックハンドを紹介しよう。コンパクト
 なスイングから強烈なバックハンドを繰り出している。スイングしても、体が
 ほとんどブレていないことに注目してほしい。鍛え抜かれた肉体が生み出すま
 さに世界基準のバックハンドである。
・ズースのバックハンド。ボールをとらえるタイミングの早さに注目してほしい。
 世界レベルの戦いで得点するにはタイミングの早さが不可欠だ。また、ボール
 のどこをとらえるかを工夫して回転の性質を変化させることも世界基準である。
 このラリーでは、ボールの左側をとらえてシュート回転をかけたバックハンド
 で得点している。
・バックハンドの最後はペンホルダーのテクニックを紹介。伝統的なペンホルダ
 ー、柳承敏のバックハンドプッシュ。ボールを呼び込みここぞというタイミン
 グでインパクト。ひじの屈伸を生かした躍動感あふれるプッシュ性ショートだ。
裏面打法
・裏面打法の第一人者、王皓。ペンホルダーの王皓は、裏面を使いシェークハン
 ドの選手のようにスムーズなバックハンドを放つ。基本姿勢でのラケットの高
 さバックスイングの取り方スイングの方向などを参考にしてほしい。裏面打法
 は、ペンホルダーのバックハンドを進化させている。ペンホルダーの選手でも
 シェークハンドの選手と同じようにバックハンドで攻撃的にプレーすることは
 最低限必要な世界基準である。

Aラリーを有利に展開する戦術・技術
・よりスピーディーに、より複雑に進化を続ける卓球のラリー。そのラリーを制
 するためにはどのような戦術・技術が必要なのか。ここでは、ラリーにおける
 世界基準のテクニックに迫ろう。
ストレート攻め
・馬琳のストレート攻撃。ほんのわずかでも時間の余裕があれば相手の状況を素
 早く把握し、最も効果的なコースに打つ。トップ選手たちはそのようなテクニ
 ックを身につけている。
・ボルのストレート攻撃。バックハンドを打った後のフォアハンドのコースに注
 目しよう。バック側に食い込んでくるようなボールに対してボディーワークを
 使い、ストレートへ打っている。
・相手が予測できないようなコースに打つ発想とテクニック。ラリーを制するた
 めの世界基準が凝縮されているプレーだ。距離の短いストレートをいかに攻め
 るか。それが、世界レベルの戦いでラリーを制するためのカギである。
ワイドな攻め
・ラリーを優位に進めるためには、フィリップ・セイブのようにサイドを切るよ
 うなコースにボールをコントロールして相手を大きく動かすこともポイントで
 ある。
ミドル攻め
・ミドルを攻めることの重要性はいまさら語るまでもないだろう。ミドルでチャ
 ンスをつくる。ミドルで得点を挙げる。ラリーでは、常に相手のミドルを意識
 することが世界基準である。
ネットイン処理
・世界で戦うためにはネットインのボールにも的確に対応して得点に結びつける
 ことが欠かせない。
・王皓はネットインのボールに対して体を突っ込むことなく落ち着いてタイミン
 グを調整している。
・馬琳のネットイン処理。ネットにかかってタイミングや回転が急激に変化した
 ボールに対して床すれすれまで打球点を落として対応している。強靱な下半身
 と繊細なタッチが要求されるプレーだ。馬琳のネットイン処理をもう1つ紹介
 しよう。ネットインによって回転の予測が難しくなったボールに対して、ラケ
 ットを上からスッと下ろしカットのようなスイングで対応。ネットインのボー
 ルに対応するときはこのような柔軟な発想も必要である。
・スミルノフからはネットインに対する台上処理を学ぼう。バックハンドドライ
 ブの準備をしていたところで、ボールがネットイン。そこで、とっさにグリッ
 プの力を抜き柔らかいタッチで対応している。体のバランスを保つためにフリ
 ーハンドを上手に使っている点も参考にしよう。
カット攻略
・ここからは、カット主戦型に対する攻略法を見ていこう。現代のカット主戦型
 はドライブを打たれることに慣れている。そのため、よほどのパワーがなけれ
 ばドライブだけで勝つことは難しい。カット主戦型を攻略するためにはスマッ
 シュを打つことも大切である。また、シュートドライブやカーブドライブなど
 回転に変化をつけて相手を大きく動かすこともカット主戦型攻略には欠かせな
 いポイントだ。現代のカット主戦型は攻撃型と変わらないほどの攻撃力を備え
 ている。その傾向を理解してたとえカット主戦型から攻撃されても慌てずに対
 応することが必要である。
・吉田は、世界基準のパワードライブを軸にしたカット攻略で、韓国の朱世赫を
 破った。前後への揺さぶり。ミドルへの攻撃。吉田の見事なカット攻略を参考
 にしよう。

B攻撃されたときの返球テクニック
・相手に攻撃されたときに、どのように対処するか。これも、勝負を左右するポ
 イントである。今大会では、複雑なスピンを加えた攻撃的なブロックが目立っ
 た。また、カウンターの精度がますます高まり攻守の境目がなくなってきてい
 る。ここでは、相手から攻撃されたときの返球テクニックをトップ選手のプレ
 ーから学んでいこう。
ブロック
・柳承敏のブロック。相手に連続攻撃されても体のバランスを崩さず足を細かく
 微調整している。そして、ミドルへの攻撃に対して右腰を前に押し出すように
 して、カウンター気味にブロックしている。
・コースを的確に狙ったスミルノフのフォアハンドブロック。無理にカウンター
 するのではなく状況によってはコースを狙ってブロックすることがプレーを安
 定させるポイントである。
・ワルドナーのサイドスピンを加えたブロックを紹介しよう。バウンド直後を狙
 い、ラケットを右から左に動かして横下回転をかけている。相手の連続攻撃を
 防ぐ、絶妙なブロックである。
・水谷のフォアハンドブロック。相手の攻撃に不意を突かれて体のバランスを崩
 しながらも、見事な反応を見せている。いったん崩れた体のバランスを素早く
 取り戻して次の攻撃に移っている点も素晴らしい。
・岸川の頭脳的なブロックを紹介しよう。サウスポーの相手をフォア側に大きく
 動かし攻撃させてから空いたストレートにブロックして得点に結びつけている。
カウンター
・ここからは、相手の攻撃に対するカウンタープレーを紹介していこう。まずは、
 馬琳のカウンター。時間的な余裕がない中で瞬時にバランスを整えるためにし
 ゃがみ込みながらスイングしている。
・ボルのカウンターはスイングがコンパクトだ。前腕を使って鋭くスイングする
 ことで威力を出している。
・もはやカウンターは、イチかバチかの勝負ではなく確実に成功させるテクニッ
 クだ。安定したカウンターテクニックを身につけることが世界基準である。そ
 れと同時に、簡単にカウンターされないようなボールを送る必要がある。相手
 のカウンターを、さらにカウンターで狙い打つプレーも今大会では多く見られ
 た。このようにカウンターに対してカウンターするプレーは今後ますます増え
 ていくだろう。
・ボルは、カウンターをさらに進化させたテクニックを披露してくれた。相手の
 フォア側へ逃げるように曲がるカウンターだ。このように様々な回転をかけた
 カウンターも世界で戦うためには必要になっていくだろう。
ミドル処理
・ミドルを攻めることがラリーを制するポイントであるならミドルを攻められた
 ときの対応もラリーを制するポイントである。ボディーワークやラケットワー
 クを巧みに使ったミドル処理を参考にしてほしい。

Cサービス・テクニック
・サービスは攻撃の第1球であると同時に自分の得意な攻撃パターンにつなげる
 ための”導火線”でもある。トップ選手がそれぞれの長所を最大限に発揮する
 ために考え抜いた個性的なサービス・テクニックの数々を紹介しよう。
ショートサービス
・王皓の逆横回転ショートサービス。手首を内側に曲げているのがポイントだ。
・柳承敏の右横下回転ショートサービス。インパクト直後にひじを急激に上げ瞬
 間的にラケット角度を変えて回転をカムフラージュしている。
・馬琳の下回転ショートサービス。相手のレシーブがネットの半分の高さまでし
 か届かないほど猛烈に回転のかかった下回転サービスだ。フォロースルーで打
 球面を相手に見せるようにして回転量をカムフラージュしている点も参考にし
 よう。
・ワルドナーのナックル・ショートサービス。インパクト直後に打球面を上に向
 け下回転をかけたようにカムフラージュしている。
・ボルの逆横回転サービスは猛烈な回転がかかっている。グリップを変えて手首
 の可動範囲を広げ猛烈なスピンをかけられるように工夫している点を参考にし
 よう。
フォステスのサービス
・ここで、フォステスのサービスを紹介しよう。ラケットのグリップ部分ではな
 くブレードの部分を握って出すサービスの数々はブレーメンで大きな威力を発
 揮した。固定観念にとらわれない発想が生み出したサービス・テクニックであ
 る。
スピードロングサービス
・試合の流れを変えるために、また、相手を突き離すためにスピードロングサー
 ビスは、欠かせないサービスだ。トップ選手たちが放つ威力のあるスピードロ
 ングサービスをご覧いただきたい。
3球目攻撃
・ここからは、圧巻の3球目攻撃を紹介しよう。レシーブを素早く予測する能力。
 攻撃できると判断したときのダイナミックな動き。確実に得点に結びつけるパ
 ワーと計算され尽くしたコース。そして、3球目で攻撃するために磨き上げら
 れたサービス。これらに注目して3球目攻撃の数々を見てほしい。

Dレシーブ・テクニックと台上テクニック
・ここでは、世界基準のレシーブ・テクニックと台上テクニックを見ていこう。
 レシーブ・テクニックと台上テクニックは大きく2つに分けることができる。
 1つは、相手の攻撃を防ぐためのテクニック。もう1つは、先手を取るための
 テクニックである。まずは、相手の攻撃を防ぐテクニックから紹介していこう。
相手の攻撃を防ぐテクニック《ストップ》
・ショートサービスが主流の現代では相手の攻撃を防ぐために正確なストップが
 重要だ。最近は、馬琳のように、横回転サービスに対しても的確にストップで
 きることが世界基準である。サービスの複雑な変化を見極める判断力。そして、
 低く、短く、正確にストップするための繊細なタッチ。これらを磨いて精度の
 高いストップを身につけることがレシーブや台上での先手争いに欠かせない世
 界基準である。
相手の攻撃を防ぐテクニック《ツッツキ》
・相手の攻撃を防ぐためにツッツキも重要なテクニックだ。ストップと同じよう
 な構えから鋭く、深く、ツッツく。ツッツキを磨けば、相手の攻撃力を半減さ
 せラリーの主導権を握ることができる。
相手の攻撃を防ぐテクニック
・プレーの進化、そして、用具の進化によって攻撃力が増す一方の現代卓球。攻
 撃力が増大すれば、当然それに対抗する守備力の強化も必要になる。とりわけ、
 1発で打ち抜くパワーを持った男子選手同士の戦いではストップとツッツキを
 織り交ぜたレシーブ・テクニックや台上テクニックで相手の攻撃を防ぐことが
 必要である。
先手を取るテクニック《レシーブ強打》
・ここからは、先手を取るためのテクニックを紹介していこう。ネットを越えて
 から1バウンドで台から出るような甘いサービスに対しては、すかさず攻撃す
 る。これが世界レベルで戦うために欠かせない心構えであり身につけなければ
 ならないテクニックである。
先手を取るテクニック《フリック》
・次に、台上で攻撃的に払うテクニックであるフリックを紹介しよう。足の踏み
 込みや前腕の使い方などに注目して世界基準のフリックを見ていただきたい。
 フリックはフォアハンドだけのテクニックではない。バックハンドのフリック
 も、世界のトップ選手たちは当然のように取り入れている。
先手を取るテクニック《フェイク》
・先手を取るためには、フェイクモーションを入れた台上テクニックも必要だ。
 ストップと見せかけてフリックする。体の向きでフェイントをかける。相手の
 意表を突く独創的なフェイクモーションを身につけることがこれからのレシー
 ブ・テクニックや台上テクニックに欠かせない世界基準になるだろう。

E世界のカット主戦型
・世界選手権ブレーメン大会で活躍したカット主戦型のプレーヤーを紹介しよう。
 2003年世界選手権パリ大会準優勝の朱世赫。猛烈に切れたカットと、強烈
 な攻撃が特徴だ。バック面のツブ高ラバーで猛烈に切れたカットを送り相手の
 ボールが甘くなったすきを見逃さず攻撃に結びつけるのが朱世赫の得意パター
 ンだ。朱世赫のフォアハンドの攻撃力は高く、世界トップクラスの攻撃選手と
 打ち合っても負けないほどだ。
・次は、陳衛星。中国からオーストリアに帰化した選手である。カットはバック
 カットがほとんどでフォアハンドはもっぱらカーブドライブなどの攻撃に使っ
 ている。
・ギリシャのジオニス。カット主戦型とはいってもフォアハンドで攻撃すること
 が多いプレースタイルである。長いリーチを生かした大きなスイングで繰り出
 すフォアハンドドライブは、攻撃選手を上回るほどの威力がある。
・現代のカット主戦型は必ずしも守備型な戦型とはいえない。常に攻撃のチャン
 スをうかがって攻めのプレーをする。これが、カット主戦型の新しい世界基準
 である。

Fフィッシング
・相手に攻撃されたときに台から距離を取ってしのぐテクニックをフィッシング
 という。ここでは、世界基準のフィッシングに迫ろう。相手に主導権を握られ
 た不利な状況でも簡単にラリーをあきらめず、台から離れてしのぐ。複雑な回
 転をかけて相手の攻撃ミスを誘う。そして、チャンスをうかがって攻撃に転じ
 得点に結びつける。相手に攻撃されたからといって簡単に得点を与えてしまう
 ようでは勝利をつかむことはできない。何本でも粘り抜くフィッシングをマス
 ターすることが世界基準である。

G世界基準のラリー
・最後に、世界最高峰のラリーをご覧に入れよう。よりパワフルに、よりスピー
 ディーにそして、よりオールラウンドに。ダイナミックな進化が止まらない男
 子の世界基準。世界の熾烈な戦いを勝ち抜くためには確かな基本と、強靱な肉
 体。そして、柔軟な発想に基づく独創的なプレーが不可欠である。ここで紹介
 したプレーは、現時点での世界基準である。だが、卓球はこれからも、より複
 雑によりダイナミックに進化を続けてゆくだろう。その進化に追いつき、追い
 越すために何をするべきか。その「何か」をつかむためにこのビデオを、すべ
 ての選手と指導者に贈る。現時点での世界基準が凝縮されているこのビデオを
 深く研究し、日ごろの訓練に役立ててほしい。やがて、あなたたちの求めた
 「何か」が、新しい世界基準になることを信じて…。