今回初めて、国体の予選に出てみました。これまでうちのレベルでは参加費が無駄になるだけと思い、出場を見送っていたのですが。
参加費1000円。卓球の大会の中で安い金額ではないですが、思っていたよりたくさん試合ができました。澁谷と勝木がベスト64。また、外シードの人と対戦できた人はラッキーでしたね。お金では買えない経験ができたと思います。さらにレベルアップしていけば、もっと上の世界が待っているんですよ。
「どんな方法で松坂大輔を指導したんですか?」
メジャーリーグ行きが決まってから、とみに訊ねられる質問である。
結論から言えば、大輔に技術的な面で細かく指示を出した覚えはない。コントロールをつけさせ、スローカーブを覚えさせたことと、体力をつけさせたことぐらいである。
後は、もっぱら野球に取り組む姿勢など、精神的な指導に終始した。
大輔からアドバイスを求められれば応じるが、基本的には自分で練習をして、自分なりのフォームを研究するように指示していた。
ただし、彼自身、強靱な精神力のもち主であり、納得いくまで自分で考え、練習では徹底して自分を追い込み、貪欲に独自の野球道を確立していった。
「自分で努力をしなければ、チームの一員として認められない。これは社会でも同じこと。一生懸命働いて努力しなければ、誰も認めてくれないよ」
大輔は真剣に、僕の言葉に耳を傾けていた。(中略)
僕やコーチが対戦相手の投手を研究し、様々なデータを取って、試合中に「あの投手は次にこんなボールを投げてくるはずだ」と打者に教えることはできるだろう。
だが、仮にそれでヒットを打てたとしても、それは打者の実力ではない。選手は監督やコーチのロボットではないはずだ。
そうではなく、力と力の勝負、あるいは技と技の勝負を正々堂々とやることに、本当の意味がある。バッターボックスに入り、「この投手のカーブを狙おう」とか、「次はインコースにくるだろう」などと自分の頭と体で考えてこそ、感性も磨かれるし、考える力も身につくのである。
サッカーのルールは17あるというが、野球のルールは2000以上もある。とてもそれらそべてを覚えきることはできない。
しかし、それを必死で覚え、泥まみれになりながら試合で生かそうとして必死になる。そうやって、大輔も一段一段、階段を上って行ったのである。
〜「ひたむきに 松坂大輔、超一流への道」(渡辺元智監督著)より〜