| 卓球 「夢に向かいて」@ 〜近藤先生の指導術その1〜 |
NO.102 |
2004.5.8作成
この連休中、卓球王国から出ている「夢に向かいて」(近藤欽司前全日本監督著)という本を読みました。
「人」を育てる卓球指導術―、とても勉強になり、一気に読み終えてしまいました。この本の構成は、
第1章 卓球との出合い、そして指導者への道
第2章 選手たちとの出会いと、個性の生かし方
第3章 国際大会で学んだ卓球の深み
第4章 指導術その1 インターハイに向けたチーム作り
第5章 指導術その2 試合で役立つ練習とは何か
第6章 指導術その3 誰にでも指導の転機は訪れる
最終章 今振り返り思うこと
となっています。そこで今回は、第4章の「指導術その1 インターハイに向けたチーム作り」から一部紹介したいと
思います。
インターハイを起点とする年間四期の練習計画
インターハイが終わると次のチームの一年の練習計画がスタートします。国体→全日本があって高校選抜→
関東大会→インターハイというローテーションです。年間計画のゴールはインターハイです。
インターハイには先発・後発は分かれますが、部員全員を連れていきます。選手、ベンチ、二階の応援が一体と
なって戦うインターハイの雰囲気と、その熱気を感じさせてやりたいのです。インターハイが終わると、一週間ほど
夏休みとして家に帰しますが、その後練習を再開した時に、あの素晴らしいインターハイの感動を頭に焼き付け、
また翌年のインターハイに向けてスタートします。
インターハイが終わった8月の中旬から12月の全日本選手権までを年間練習計画の「一期」と考えています。
この期間は、これから選手自身がどのような戦型を目指したいのか、インターハイでの経験をもとにだいたいの
青写真を描かせ、私もアドバイスします。最初の一ヵ月(9月)は、自分が目指す戦型にはどのような「技術」が
必要かを考え、練習させます。ドライブ攻撃型であれば、ドライブの種類、威力、安定、それにサービスの練習
です。
「一期」二ヵ月目(10月)の練習の中心は「動き」です。プレースタイルごとに試合で多く使う動き方の練習を行い
ます。シェーク攻撃型であれば左右の切り替えから途中でフリー、ペンだったら左右の一本交替フットワークから
何本か続いたらフリーにします。サービスから7球目まで、あるいはレシーブから8球目までの、ラリーの中に多く
ある動き方の練習をすることがポイントです。
三ヵ月目(11月)の練習の中心は、「型作り」で、サービスあるいはレシーブからのシステム練習です。例えば、
サービスの種類・コースを決め、レシーブの種類やコースをある程度指示して、3球目攻撃までコースを決めて、
4球目以降はフリーにします。このシステム練習は、いろいろ応用することにより、予測能力を高めたり、逆コース
をついたりすることも学べます。
選手の特徴を踏まえたサービスから7球目まで、レシーブから8球目までの技や動きを含んだシステムを多く
作ることが重要で、内容は、一人ひとり個別になります。多球練習や基本のフットワークでは、同じ内容でやること
もありますが、一球練習ではほとんど各自がやりたい練習を優先順位に従ってやります。
四ヵ月目(12月)は、「試合」が中心になります。練習してきたことの成果や到達度のチェックする場として、部内
での試合もやりますが、なるべく対外試合を組みます。各地のオープン大会などにも数多く出場し、試す時期です。
今まで含めた練習内容、すなわち「技」「動き」「型作り」「試合」と流れていく中で各月ごとの割合を述べると、9月は
技が四、動きが三、型作りが二、試合が一という割合で練習します。10月になると技が一、動きが四、型作りが
三、試合が二という割合に変わります。11月は技が二、動きが一、型作りが四、試合が三で、12月は試合が
近いので試合が四になります。
全日本選手権が終わってから3月の高校選抜までが「二期目」の練習となります。
約三ヵ月間を四等分し、また「技」から入っていきます。全日本での試合内容を踏まえて、一期の時の技術練習
より、内容は高いレベルに進化していきます。
高校選抜から6月初旬の関東大会までが「三期」です。ここまでの各期ごとの練習内容は、技・動き・型作り・
試合の流れで進みますが、6月以降インターハイまでの四期は、ゲームが練習の中心になります。まずゲームを
やって、そこから練習の内容を抽出していくやり方です。練習の初めに30分ほど自由練習して、2時間ほどの
ゲーム練習。その後、反省練習。例えば、ゲーム中にブロックが悪かった選手はブロック、サービスが悪かった
選手はサービスを、反省練習で調整します。この時期は部内だけでなく、外部との交流試合も積極的に組み、
インターハイ直前には東京の大学などに練習に行きます。
卓球は、対人競技ですから、試合の中でのゲームメイク、つまり、自分が有利な展開になるように試合を進めて
いくことが非常に大事です。ところが試合経験の少ない選手は、試合をする時に自分のやりたいことしか頭に
浮かびません。相手の心理を読んで、自分の戦い方を変えていくという視野がまだ狭いのです。相手の心理を
考えるようになれば、出すサービスも変わってくるし、あるいは相手の出してくるサービスや三球目攻撃に対して、
予測ができるようになります。
「相手がこうやってきそうだから、先を読んでここで待とう、あるいはこういうふうに対応しよう」と考えるようになる
のがこの時期(四期)です。つまり、相手の裏をかいて点を取ったり、待ち伏せしてカウンターをしたり、ブロック
するプレーができるようになり、卓球の面白さがわかってくるのです。
一年生は、4月に入学なので、インターハイを中心とした年間計画の三期目から練習に参加してくることになり
ますが、私は、高校一年生は中学の延長、つまり「中学四年生」だと考えていますから、最初から大きく手を加える
ことはしません。佐藤利香、松本雪乃、河合雅世といった一年生から団体戦の戦力になった選手については、ある
程度は年間計画に組み込んで練習しました。一年生には、高校の卓球は中学と違ってラリーも続くし、コースも
厳しく、中学で得点できたボールも、高校では返ってくるので、戻りの速さや打ったあと早く構えることのアドバイス
が中心となります。
以前は、このような年間の練習計画を立てていませんでした。今は選手の目標、それを達成するための高い
意識や練習、そして試合でチェックする、という方法をとっています。その結果、もし主要な部分での内容が不十分
であれば、自主練習という形で自分で時間を作って練習させ、目標達成意識を持たせます。少しでも成果が出た
部分は、評価してほめてあげ、次のやる気に結びつけることがもっとも重要です。