卓球 「夢に向かいて」B 
         〜近藤先生の指導術その3〜
 NO.104 

2004.5.10作成

 今回も、「夢に向かいて」(近藤欽司前全日本監督著)という本からです。

第6章の「指導術その3 誰にでも指導の転機は訪れる」から、一部紹介したいと思います。


強い選手の共通点は、強気、意外性、対応力、ひらめき、やりにくさ

 国際大会を経験して強い選手を分析したり、インターハイで上位に進出してくる選手を見ていると、「こういう
プレーをしなければ上には上がっていけない」という共通する部分がいくつかあることに気がつきました。そうした
共通点を理解して、練習しておけば、必ず試合で役立つのです。
 強気か弱気かという言い方をすれば、強い選手は、ミスをした後でも強気で戦うことができます。強気で戦い抜く
ことができるからこそ、強いのだと言えます。弱い選手は、ミスをすると、すぐに弱気になり、「安全にいかな
ければ」と守りの気持ちになるために、たとえチャンスボールが来ても思い切って打てません。その安全策がミスに
つながったり、相手の待ちにはまって失点につながることが多いのです。ところが、強い選手は2本連続で失点
しても、次にチャンスがあれば強気で攻めることができます。特にインターハイでは、こうした心の強い選手が最後
の勝利者になるのです。
 「意外性」も、強い選手の共通点です。特にレシーブでは、ひとつのサービスに対して少なくとも四、五種類の
レシーブができなければなりません。強い選手になると3球目で二つくらいヤマを張るので、レシーブが二種類しか
ないと両方とも待たれてしまいます。
 試合では、このレシーブと4球目が大きく勝敗に関係します。卓球競技の心理戦において、選手が一番崩れ
やすいのがここです。レシーブと4球目でいい展開が作れないと、やがて、自分のサービスと3球目でも影響を
受け、ゲームメイクができなくなります。
 さらに3球目で攻撃する場合でも、強い選手と弱い選手は違います。たとえば、ドライブで打つとして、打球前の
構えで相手に打球コースを教えてしまっていると、自分では満足のいくプレーをしているのに、相手のブロックに
つかまってしまいます。ドライブは、同じ構えから違うコースへ打ち分けられないと勝てませんし、ツッツキや
サービスについても同じことが言えます。
 対応力という点でも、相手の特徴的なサービスや3球目にいち早く慣れ、そこでのミスをなるべく減らしていく訓練
をしていかないと、試合では勝ち残れないのです。また、試合の流れを読みながら、相手との駆け引きを自分に
有利な展開へ持っていく試合運びも大切です。いろいろな場面を想定して練習しておかないと、練習と試合が結び
つきません。
 選手自身の試合の中での「ひらめき」も、緊張状態だとなかなか出てこないので、ベンチでのアドバイスも、
「ひらめき」が引き出せるよう、緊張をほぐしてやる必要があります。
 「やりにくさ」も強さの一部分であることを、意外に指導者も見逃しがちです。「やりにくさ」を持っている選手は、
初対面の相手には強く、団体戦のラストにはもってこいです。こういう選手は部内の試合ではなかなか勝ちにくい
のですが、対外的に強いことを評価すべきです。
 部内で負けると選手も自信をなくし、監督も、いつも負けているから、この選手は試合では使えないと思って
しまいがちです。しかし、初対面の相手に強いという隠れた能力を持っている選手もいます。クセ球を打つ選手や
サービスのうまい選手、カットマンなどはこのケースに当てはまります。部内の選手には慣れられて変化が効かなく
なっているのです。団体戦では部外で強い選手を起用するわけですから、監督はそのような選手の特徴を把握
しておく必要があります。
 選手をあまりにも型にはめすぎたり、固定概念や先入観にとらわれて、「〜でなければならない」というものを押し
つけてばかりいると、選手は非常に窮屈になります。毎日の練習で「これはダメ、あれはダメ」と言われ続けると、
卓球も面白くなくなります。卓球は高校だけで十分だと、卓球をやめてしまうことにもなります。十八歳くらいで卓球
をやり尽くしたなどというのはおかしな話で、指導者としては、大学や社会人でも卓球を続けていこうという気持ちに
なるよう、選手を育てていきたいものです。


     ホームへ戻る   次号へ進む