| 卓球 「メンタル強化バイブル」A 〜メンタルトレーニング(2)〜 |
NO.145 |
2005.12.11作成
今回も、「メンタル強化バイブル」(高畑好秀著)という本からです。前回は、卓球の渋谷浩選手のことを紹介
しましたが、「第1章 一流選手たちのメンタルトレーニング」に、他にも様々な種目の選手が紹介されています。
| 阿部拓朗 | アメリカンフットボール | イメージの中で敵やボールを動かして、それに合わせて自分の動きを作る ような練習をしています |
| 荻原健司 | スキー/ ノルディック複合 |
試合当日のスケジュールをしっかりたてて、試合1週間前からその予定通り の生活リズムを作っていますね |
| 数見 肇 | 極真空手 | 丹田を意識しながらゆっくりと大きく腹式呼吸をすることで、試合前の緊張 を解消しています |
| 神尾 米 | テニス | 勝った試合のVTRを何度も観たり、新聞記事を集めたスクラップブックを 見ていると自信や勇気が湧いてくるんです |
| 川本ゆかり | 新体操 | どんな演技をするのかを決めたら必要な課題をノートに書き出し、毎日の 練習の中で1つずつクリアしていきました |
| 北澤 豪 | サッカー/ MF |
チーム全員が試合と同じシチュエーションを想定しながら練習しなければ 本番では絶対成功しませんよ |
| 斎藤春香 | ソフトボール/ 三塁手 |
打席に入る前の儀式というか、打席に入る順番があるんです。それをする ことで心理的にリラックスできるんですよ |
| 佐古賢一 | バスケットボール/ PG |
対戦するチームが勝ったときと負けたときのVTRを見て相手が心理的に 嫌がるゲームメイクを考えますね |
| 佐々木主浩 | 野球/ 投手 |
最後の打者を打ち取って”ヨシッ”とガッツポーズしている姿を目を閉じて イメージしています |
| 多治見麻子 | バレーボール | チーム全体の雰囲気を盛り上げるために私のほうから積極的に話しかける ようにしていますね |
| 田中雅美 | 水泳/ 平泳ぎ |
実際のレースでのストローク数やペース配分を考えたイメージトレーニング を試合前の練習に取り入れています |
| 永山丈太郎 | 体操/ 吊輪 |
自分の演技が成功するイメージをものすごく鮮明に作り出すと、心の奥底 から自信が湧き上がってくるんです |
| 堀越正己 | ラグビー/ SH |
自分のミスは自分が絶対に取り戻すくらいの前向きな気持ちを意識的に もつようにしています |
| 松本佳之 | スノーボード | イメージの中で滑っている姿を思い浮かべながら体を動かすことで、体感覚 も同時に感じるようにしています |
| 三谷大和 | ボクシング | 試合に向けて気持ちが高ぶってくるとサンドバックが本当の対戦相手に 見えてきて、取り憑かれたように殴り続けるんです |
| 宮崎史裕 | 剣道 | 対戦相手の試合での動きを想定して、それに合わせて打ち込みの練習 相手にも動いてもらっています |
| 吉田秀彦 | 柔道 | 練習で大切なのは目標設定ですね。今の実力で届くか届かないかくらいの 目標を立てることが大切だと思います |
| 渡邉高博 | 陸上/ 400m |
レース前にはあらゆるレースパターンをイメージしていたので、どのレースに 出場しても初めてって感じがしませんでした |
| 渡辺康幸 | 陸上/ 10000m・マラソン |
レース前になると不安にかられるような余計なことを考えがちなので、暇な 時間をなくすような工夫をしています |
その中から、神尾 米選手のことを、一部、紹介したいと思います。
「勝った試合のVTRを何度も観たり、新聞記事を集めたスクラップブックを見ていると
自信や勇気が湧いてくるんです」
神尾 米(テニス)
信頼できるコーチが心理面でのサポートもしてくれる
適度に緊張しているとうまく開き直ることができる
集中力が切れそうになったら自分の意識を1点に集中させて回復を図る
最後まであきらめない気持ちが1試合1試合を有意義なものにする
VTRで見るプレーとイメージしているプレーとのズレをなくす
神尾選手のメンタルトレーニングを実践してみよう!
試合前に必ず行う行動がメンタル面にも影響を与える
スポーツ選手は、試合の瞬間に向けて心理面を試合モードに切り換える必要がある。神尾選手の場合は鏡の中
の自分に話し掛ける方法を取っている。しかも心と体の一致を念頭に置いているのだ。
鏡は、今の自分を客観的に見ることができる唯一の手段だから、鏡を通して自己対話して、楽しい気持ちで心と
体の一致を行うのはよい方法といえる。笑顔を作れば人間の心は楽しい気持ちになるものだ。
神尾選手はこのようにしてリラックス状態を作り上げ、次に闘志を盛り上げるタイプであり、その方法がバンダナ
を巻く行為なのだ。試合以外のことでビシッとうまくいくことを体験することで、試合に対してもビシッと決まるように
思えるものだ。
体の動きで心の状態に気づくようにする
神尾選手は、プレー前も決まった動作をしている。それが3回ボールをバウンドさせてからサーブを打つという
ものだ。人間の動作は同じ動作でも、心の状態によって違った状態になるものだ。イライラと焦っているときは
テンポが早くなるし、リラックスしていればゆっくりになる。また集中力が切れてボーっとしていれば、キャッチミスが
生じたりもする。こうした決まりきった動作によって、今の自分の心理状態に気づき、修正していくというのは非常
に大切なことだ。動作のほうを修正していくことで心のほうの修正も可能なのだ。
また決まり切った動作には、条件づけの要素もあり、3回のバウンド=試合への集中という効果も期待できる。
プレーがうまくいかず、焦ったり落ち込んだときこそ上を向くようにしよう
人間というのは不思議なもので、気持ちが沈んでいるときは、無意識のうちに下向きになっているものだ。その
ときは姿勢も猫背になっていて、他人からは自信がなさそうに見えてしまう。
こういうときこそ体の状態を意識的に正して、心の状態も変化させることが大切だ。だから顔を上向きにし、猫背
もピンと伸ばすようにすべきである。そのときに目を閉じて一点を見つめるというのは、集中力を高める効果も
ある。スポーツ選手はどんな状況でも上向きでいてもらいたい。それは前向きに戦うぞという心の現れだからだ。
心の中に緊張することを比較対照物として作り出す
神尾選手は、開き直りの方法でおもしろいことを語っている。「負けても命を取られるわけではない」という部分
だ。
通常スポーツ選手は、目の前に立ちはだかる困難が自分のすべてだと考えがちで、それ以外のことに目が
向かなくなってしまっている。試合に負けてしまうと、もう自分という人間は終わってしまう、というくらいに。その
考え方が試合に対しての恐怖感や緊張を生み出してしまう。
確かに試合は大切であるが、人生のすべてであるわけではない。神尾選手の言葉ではないが、今自分は死に
直面していると考えるなら、試合のことなどとても小さなことくらいにしか感じないだろう。
重い物をもった後にそれより軽い物をもつと、軽い物だけもったときよりも軽く感じるようなものだ。これを自分の
イメージの中で仮想体験をすることもできるのだ。
たとえば、過去につらい体験をしたとすると、「それに比べたら、今のプレッシャーなんて大したことない」と考える
こともできるだろう。
心に負荷を与えて、それから取り去るという作業は人間のイメージの中だけでも可能なので試合に緊張する選手
はぜひ実践してもらいたい。
プラシーボ効果の活用
プラシーボ効果とは、自分が心から信じている医者から「風邪にはこの薬がよく効く」とラムネ菓子を渡されても、
実際に効いてしまう効果のことをいう。逆にどんなよい薬でも自分が不信感を抱いている相手から渡されると
あまり効果を示さない。それくらい心のあり方は体に影響を及ぼしてしまうものなのだ。
スポーツ選手は、やはり自分に効果的にプラシーボ効果を与えてくれる信頼できるスタッフを見つけるべき
だろう。自分で行う自己暗示も大切だが、信頼できる第三者による暗示のほうがかかりやすい選手も多いはず
だ。
それにそういった声をかけてもらうだけではなく、自分からもチームメイトにプラスの暗示をかけてみよう。その
連鎖がチーム全体ムードを高めていき、自分自身にも返ってくるのだ。