卓球 「勝ちにいくスポーツ心理学」A
                〜メンタルトレーニング(7)〜
 NO.165 

2006.3.15作成

 前回の続きで、「勝ちにいくスポーツ心理学」(高畑好秀著、山海堂)という本からです。

心を強く鍛えるための15の[理論]と[実践法]の中から、今回は、H 目標設定 から、興味あった部分を少し

紹介したいと思います。


理論編 9 目標設定

 目標設定はなぜスポーツに必要か

 目標設定とは、自分の進むべき道を明らかにしてくれるものといえます。自分は何のために、そのスポーツに
取り組んでいるのかを心のなかで明確にしておけば、モチベーションも高まり、つらい練習にも耐えていけるの
です。
 プロ野球・オリックスのイチロー選手は、高校時代に「目標はプロ野球でプレーすること。でもプロに入るだけでは
仕方ないから、みんながあこがれるような選手になる」と自分の目標を設定していたようです。
 そして、この高い目標を達成すべく、高校の合宿生活で部員たちがワイワイ騒いでいるときでも、みんなに
気づかれないようにそっと外に出て素振りをしていたということです。
 もしかりに、目標がなければ、イチロー選手のようなプラスαの自主的練習はもとより、ふだんの練習さえも、
「自分は、いったい何のためにこんなことをやっているんだ」と、バカらしくなってしまうことでしょう。
 こういった意味においても、目標設定は重要なものなのです。目標が明確であれば、それを達成するために
すべき練習も、はっきりと見えてきます。
 とはいうものの、ただやみくもに目標を設定すればよいというわけでもありません。
 私はよく、高校野球の部員と話をするのですが、そのとき彼らの目標を聞くと、全員口をそろえたように、
「甲子園」と言います。そこで今度は、「甲子園に行けそうなの」と質問すると、急に元気のない顔になり「いや、まず
無理だと思います」という答えが返ってくるのです。
 このように、現在の自分の実力から考えても、まったく現実感のない目標設定は、逆に心のなかに無力感を
強める結果となってしまいます。当然、そのような目標設定では達成感も味わえないため、「自分たちはいくら
がんばってもダメだ」と、逆に自信を失ってしまうことにもなりかねません。ですから、目標設定はある程度、自分
でも現実感のもてるものにしておく必要があるでしょう。
 ノーバート・ウィナーという学者は、目標について「人間の行動は予測とフィードバック制御によって行われる」と
表現しています。つまり、人間は目標を達成させるために、常に現実と目標のズレを見つけだし、そのズレを修正
すべく、脳から指令を出しているというのです。ですから、あまりに非現実的な目標設定は、ズレが大きすぎて、
脳のほうでも処理しきれず具体的な指令が出せないという結果を招いてしまいます。
 そのほか、目標は達成されてしまうと、次の目標を見つけなければ、バーンアウト(燃えつき)症候群を生んで
しまうということも、頭に入れておきましょう。よく「オリンピック出場が目標です」と言っている選手が、実際に出場
が決まった瞬間からモチベーションが下がってしまうことがありますが、これもバーンアウトの一例です。
 このように、スポーツにおける目標設定は、とても有効な反面、設定の仕方を間違えてしまうと大きなマイナス
へとつながってしまうので注意が必要です。

実践編 9 目標設定

 勝利への指針
   目標をいかに設定するかで、モチベーションや技術の向上に大きな差が出てくる。大切なのは、最終的に
   自分が目指す長期的な目標を明確にすることだ。そして、その目標を達成するためには何が必要なのかを
   考え、中期的な目標、さらには短期的な目標を設定する。目の前の勝ちばかりに心を奪われないのも、
   最終的な勝利者になるためのポイントだ。

 110パーセントの目標設定を心掛けよう

 目標設定に関する興味深い実験があります。その実験とは、走り幅跳びを1回跳んでもらい、最初の記録を基準として、次にその基準の100パーセント、110パーセント、120パーセントの目標を設定してから、再び跳んで
もらうというものです。すると、110パーセントの目標設定をしたときが、もっとも記録が伸びるのです。
 この110パーセントに挑戦するときの心理を考えると、「ちょっと難しいけど、うまくいけば何とかなるな」という
感じだと思います。人間は、「こんなことは無理に決まっている」という非現実的な目標を設定すると、逆に無力感
にとらわれてしまいます。
 同様に、目標設定が現状維持やそれ以下であっても、「よっしやるぞ」というやる気がなかなか高まらないもの
です。
 つまり、自分ががんばることで達成できそうだという、できるできないの確率が半々くらいの目標設定が大切に
なるということです。
 いつもベスト8止まりの選手であれば、いきなり優勝を目標にするよりも、ベスト4を目標に立てるほうが、
モチベーションが高まるのです。

 長期、中期、短期に分けて目標設定

 現在の実力から考えれば、あまりに非現実的な目標であっても、それをどうしても達成したいのだという強い願望
があるなら、設定してもいいと思います。
 ただ現時点では、目標と現実のズレが大きいため、その目標だけでは、無力感にとらわれます。そのためにも、
その目標を最終的な長期の目標として、そこに届くまでにクリアしなければいけない段階的な目標を設定すれば
よいと思います。
 つまり、最終的な長期目標のために、そのステップとなる中期目標、それから今の自分でも届くか届かないかの
短期の目標を設定するということです。
 高校野球の例をとれば、自分の高校の今の実力が、県大会2回戦止まりだとすれば、短期の目標は4回戦
突破、中期の目標はベスト4入り、長期の目標が甲子園出場といった感じになるでしょう。
 そうやって段階的に一つずつ目標を達成していければ、今まで遠くにあった目標が、にわかに現実味を帯びて
くるはずです。また一つずつ目標をクリアしてきた自信がさらにモチベーションを高めます。欲をいえば、短期と
中期の間に短中期の目標、中期と長期の間に中長期の目標を入れることが望ましいでしょう。

 日々の練習も課題を決めて行うようにする

 ただし、お話してきたように、段階的な目標を設定しても、日々の練習をただこなしていたのでは、それぞれの
目標を達成することさえ難しいと思います。
 目標を達成するために、どのくらいの技術力が必要かは自分でわかると思います。その自分に必要な技術と、
現在自分がもっている技術のズレを修正しなければいけないのです。
 そのためにも、目標となる試合までの日数のなかで、段階的な技術向上を行っていく必要があります。限られた
日数のなかで、「○日までにはここまで達成するようにして、次の○日までにはここまで」という日数と技術レベルの
設定を行ってください。
 そうすると、その技術レベルに達するために必要な自分の課題が、いくつか明確になるはずです。
 そのいくつかの課題がわかれば、必然的に「今日はこの課題をクリアーできるようにがんばろう」と思えるはず
です。

 勝敗だけでなく試合内容を目標にする

 正しい目標設定プランを考えてみる

 第二の目標は作らないようにしよう

 他人の設定した目標に惑わされないように

 目標が達成されたら、次の目標を設定する   


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