卓球 「オシム 知将の教え」
    〜伝わる言葉で強い組織をつくる(2)〜
 NO.195 

2006.12.28作成

 前回の続きで、「オシム 知将の教え 伝わる言葉で強い組織をつくる」(児玉光雄著)という本からです。

その本の後半の内容から、少し紹介したいと思います。


第5章 逆境にこそ学べ

「今日は本当に良い経験になった。もっと良い経験にするためには、あのまま逆転負けすれば良かった。
そうすれば我々の選手たちも、どういうプレーをしなければいけないのか、どういうプレーをしてはいけないのか、
わかったと思う。大きな教訓になったはずだ。本当に逆転されれば良かった」

失敗の数がその人間のたくましさを形成する

 負けることはひょっとしたら勝つことよりも大事かもしれない。人生を成功に導きたかったら最初にあまり大きな
成功をしないこと。もっと言えば、人生の早い時期にたくさん失敗することが成功を手に入れるカギとなる。
 その証拠に、人生の最初に大成功を収めた人間の人生を丹念にたどっていくと、案外、惨めな人生を送って
いる場合が多い。
 たとえばイチローである。彼は無安打のときのほうが元気がいい。「なぜ失敗したんだろう?」と考えることで自分
は進化できた事実を痛いほど知っている体。無安打の状況が彼に力を与えてきたのである。
 人生のなかでどれだけ数多くの失敗をしてきたか。それがその人間のたくましさを決めるのだ。だから失敗に
対する免疫力を高めたかったら、数多く失敗するしかない。それが最良の方法なのだ。
 挫折を知らない人間は怖い。うまくいかずに悩む人間に気持ちがわからない。そして自分が最悪の状況に
陥ったとき、そこから逃れる術も知らない。一度の失敗で完全に戦意を喪失してしまうのだ。

第6章 勝負に対する意識革命

「本当に強いチームというのは、夢を見るのではなく、できることをやるものだ」

結果がすぐに出ない努力が本物である

 オシムの哲学はとにかく「走る」こと。サッカーというスポーツは走らないことにははじまらない。サッカーはほぼ
走りながらのプレーの連続、そして走ることが当たり前というレベルにまで達して、そこから頭を使ったサッカーを
する。
 毎日の地道な行動が、夢へ向かう最短な方法であることを自覚しよう。毎日が勝負の連続である。汗を流した量
が才能になる。
 結果として業績を残している人は、決して背伸びしない。ただひたすら小さな習慣を毎日地道に積み重ねて
いる。本当に欲しいものを手に入れるにはその方法しかないことを知っている。
 目に見えないからといって成長していないとは限らない。むしろ目に見えないところで成長していることのほうが
圧倒的に多い。
 そして、ある日突然、劇的に変化が起こる。結果がすぐに出ない単純作業をどれだけ繰り返せるか。それが実力
になる。
 幸運の女神は成果の見えないときにどれだけ踏ん張れるかを試している。そう考えれば案外人生が楽しくなる。

第7章 リーダーがなすべきこと

「走りすぎても死なない」

同じテーマを何度も繰り返し伝える

 この短い言葉のなかにオシムのサッカー哲学が凝縮されている。「レーニンは『勉強して、勉強して、勉強しろ』と
言った。私は、『走って、走って、走れ』と言っている」ともオシムは語っている。
 リーダーは、テーマを繰り返し部下に言い続けなければ伝わらないということを知っておくべきだ。自分の信念を
伝えるにはシンプルな言葉がいい。だから繰り返しひとつのテーマを言い続ける頑固さがリーダーになければ
ならない。
 多様性のあるチームは見栄えはいいが、実は脆い。真剣勝負の舞台でほぼ同じ力量のチームが対戦したとき、
ひとつのテーマを徹底した不器用なチームのほうが勝利を収める。
 わかりやすいビジョンがあるチームは、向かうべき方向が定まりそれが武器になる。集団を統率するのに多くの
目標を掲げては決して成就しない。捨てるものは捨ててひとつのテーマに絞り込むこと。
 同じことを主張し続ける一貫性に部下は信頼感を持つ。その短い言葉が、迷ったときやスランプに陥ったときの
指針になる。思慮深く、ただし伝える言葉は明快に。これがリーダーに求められる資質である。

第8章 日本人の課題

「世界の基準、日本の基準がある。でもだれのマネもしないほうがいい。日本はこれから先を考える必要がある」

オリジナリティを発揮することの大切さ

 オリジナリティの開発こそ成功の切り札である。オシムはいつもそのことを思索している。日本人特有の武器は
必ずある。日本の選手たちの特性をブラジルの選手たちのそれと比較してはいけない。ブラジルの選手たちに
真似のできない特長を日本の選手たちは構築することができる。なのに、これまでのチームづくりにそういう発想
や工夫が真剣になされてこなかった。日本は南米やヨーロッパのサッカースタイルを追うことに終始した。
 日本人にしかない個性をもっと発揮するという発想が必要だ。そして、そんな日本らしいチームづくりにオシムは
格好の監督である。
 個性がシステムを凌駕する。そういう思考パターンをつくっていかねば、絶対世界で一流にはなれない。国内で
機能的なシステムで勝利したからといって、それが世界で通用することはない。
 サッカーに限らずビジネスにおいても、オリジナリティを発揮することでこそ世界レベルでの戦いに挑める。
 SONYもHONDAも決して欧米の物真似はしなかった。一流は皆、オリジナルなのである。    


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