| 卓球 「メンタルトレーニング流れに乗る技術」A 〜メンタルトレーニング(12)〜 |
NO.230 |
2007.5.1作成
前号の続きで、「勝負強さを鍛えるメンタルトレーニング 流れに乗る技術」(高畑好秀著)という本からです。スポーツに学ぶ「流れに乗る技術」と
いうもので、試合における流れをいかにつかむか、大変勉強になる内容でした。
今回は、第3章 いい流れを確実に引きこむ と 第5章 悪い流れをかわす技術 から、興味のある部分を少し紹介したいと思います。
第3章 いい流れを確実に引きこむ
多大な効果がある有言実行
昔の日本人は不言実行を美徳としていましたが、現在のスポーツ界では有言実行の人が増えてきました。その先駆け的存在が中日ドラゴンズ
監督の落合博満です。現役時代はシーズン前に必ず「三冠王を獲る」と宣言をし、実際に3度、三冠王に輝いています。
よほど自信がなければ公言はできないものですが、落合の場合、あえて口に出すことで言い訳ができない状況に自分を追いこみ、プレッシャーを
かけていたようです。
自分の目標なり夢などを口にすることには、メンタルトレーニングの立場からすると、実に多くの効果があります。しかも、多くの人に公言することで
自己実現に向けた流れに乗ることができるのです。心のなかで漠然と考えているよりも、目標を口に出すことはイメージをより鮮明にします。他人に
わかることばで説明しようとすることで言語中枢が刺激され、声にした自分のことばを聴くことで聴覚も刺激されるからです。
自分の夢や目標をさまざまな場面で繰り返し語ることで、さらにイメージは鮮明になります。それだけではありません。自分の目標や夢を語ること
で、まわりの人もあなたの理想を鮮明なイメージとして認識することになります。
理想を語るだけでなく、それに向かって必死に頑張っている姿をまわりの人たちが目にすれば、「サポートしてあげたい」という思いも自然に湧き
あがってくるはずです。あなたとしても公言してしまった手前、後には引けません。あなた自身の自覚と周囲の目がひとつの流れを形成していくの
です。
何も大風呂敷を広げる必要はありません。「目標は自分の実力よりも少しだけ上に設定する」と前述しましたが、少し頑張れば達成できそうな内容
でいいのです。クリアできれば周囲の人はあなたのことを「言ったことは必ずやり抜く人」という印象を持ちます。
小さなことを有言実行できたら、目標を自分の実力よりも少し上に置いて、それをまた公言するのです。そして目標を達成していく。こうしたことを
繰り返すことによって、まわりの人たちから信頼感を得ることができるのです。
「!自分の目標や夢は堂々と公言する」
第5章 悪い流れをかわす技術
マイナス思考が流れを止める
自分が歩みを進めている道に大きな壁がそびえ立っていたとしましょう。あなたならその壁をどう捉えるでしょうか。将来のために乗り越えなければ
ならないと思うのか、あるいは乗り越えるのは厄介だから別の道を歩こうとするのか。目の前に見えるのは同じ壁ですが、その人の思考次第で壁の
存在はさまざまに変化します。
目の前に白いウサギがいたとしましょう。赤いレンズのサングラスで見れば、白いウサギも赤いウサギに見えます。青いサングラスで見れば、青い
ウサギに見えます。要するに見る人の心理状態、気の持ちようで、白いウサギも色の見え方がまったくちがってくるのです。
前向きの思考でいれば、たとえ困難に直面してもそれを乗り越える勇気が湧いてきます。もしかしたら困難だとすら感じないかもしれません。それ
とは逆に、鬱々とした気持ちでいたならば、見えるものすべてをネガティブに捉えてしまいます。比較的小さな壁でも、とても厄介に思えてくることで
しょう。
失敗をしてしまったときにいつまでも暗い気持ちでいたり、失敗の場面を繰り返し思い浮かべて「あのとき、こうすればよかった」と取りもどすことの
できない過去に固執しても、結果は変わりません。こうした後ろ向きの姿勢は、自ら流れを断ちきってしまう行為なのです。
私が選手を指導する際には「試合中にミスしたら、その反省はするな」と教えています。行動を起こしているときにその原因を探ることは、自己
否定につながる危険があるからです。2000年から6年連続でLPGA(日本女子プロゴルフ協会)ツアーの賞金女王に輝いている不動裕理は、責任
転嫁の名人です。ミスショットをしても「突然吹いた風のせいだ」など、自分の技術を疑うような思考をしないようにしています。
マイナス思考に陥るぐらいだったら、自分以外のものに失敗の原因をなすりつけてしまうほうがずっとましなのです。
「!失敗しても自己否定はしない」