卓球 瀬木先生の指導法   NO.29 

99.6.2作成

●瀬木先生の指導法

   大和東高(関東大会3回連続出場)卓球部顧問

 99.5.23(日)の教職員卓球大会終了後の飲み会で瀬木先生から教わったという
同僚の本橋先生のメモより紹介したいと思います。

 放課後みんなが集まって練習しよう、という時、
1.最初の10分…(1)準備体操なぞしない。
         (2)フォアクロスの打ち合いなぞしない。
           なぜなら試合でそんな場面は無いから。
         (3)じゃあ何をやるのか。
    試合で使うロングサーブ(威力のないサーブではなく。
   フォアから、バックからのどちらでもよい。)
   をバッククロスに出す。その後バッククロスのショート戦になる。
   ショート戦が何往復か続いたらどちらかがフォアへ返す。そこからオールラウンド。

2.カットマンはどう練習するか。(瀬木先生はカットマン。この日シングルスの1位になられた)
 (1)まず突っつきが大事だ。下回転サーブの多球練習を受ける。
   コーチは自分のコートの上で1つのボールを低い所から落とす。
   はずんだボールに下回転をかけて相手に出す。フォアに出すのかバックに出すのかは決めない。
   なぜなら試合ではそんなこと決まってるはずがないから。生徒は突っつきで返す。
   強打されないコースへ。返したらすぐに基本の位置で基本姿勢に戻る。
   次のボールがどちらに来るかわからないから。
   生徒が打ったボールがコーチのコートにバウンドするよりも早く次のボールを
   コーチはコーチのコートにバウンドさせて下回転で生徒に出す。
   これにより多球の方が突っつき同士のラリーよりもテンポは速い練習になる。
   なぜなら試合では自分が間に合わないテンポで下回転ボールが来る時もあるし
   下回転ボールへの反応を早目にしていく必要があるから。
   (コーチはできれば選手だけを見ながら玉出しをする。
   無理なら持ったボールだけを見てやってもよい。)
   突っつきのボールがラケットに当たる瞬間は曲面ではない。
   ボールはすぐラケットから離れてしまうから。
   でも強く切るように見せかようとして曲面に動かす場合もある。基本的には平面である。
   スマッシュの時、ボールがラバーに入る時間は千分の4秒。突っつきの時は100分の4秒。
   そんな短い時間にボールを丸め込むなんてできない。
 (2)カットマンのロングカット
    現代の卓球ではカットマンは台から下がって低い点でカットしていたら勝てない。
   あまり下がらずカットをしてチャンスボールが来たら攻めていく。だから重心も下げない。
   バックハンドのバックスイングは耳の横から、とは決められない。
   試合でバックスイングする余裕がない時は瀬木先生は左脇の前の動きだけでカットする。
   余裕がある時も左耳までは上げない。
   このフォームで打たなければならない、という断言はできない。
   卓球とは相手が出してきたボールに対して、自分が持っている何種類かの打ち方を
   一瞬に消去法で消していって1つに決めてその技で打つスポーツだ。
   例えばバックに下回転サーブが来た時フォアに短く突っつくのかバック側に横回転で返すのか、
   ちょっとでも浮いたら思いっきりプッシュするのか色々な打ち方がある。
   相手がサーブを出した瞬間に1つ1つ消去法で消していって1つに絞る。
   試合が進むにつれて相手がミスしやすいコースがわかるのでそこを攻めていくし、
   相手のサーブの種類も全部わかるからレシーブの時は種類やコースを予想して待つ。
   つまり卓球とは相手が出してきたボールを自分がどう打つのか、どう対応するのか、
   という対応のスポーツだ。
   フォアカットにしても親指近くでカットするのとラケットの先の方でカットするのでは
   スピンの速さが違う。
   これによって、切ったふりをして切らないで返す、ということもできる。
   打ち方の種類は無限にあるのだ。最も有効なものを選ぶのだ。

3.ラケットの持ち方、基本打ちのフォームで正しくない癖がついてしまった選手に対して、
 「俺はお前のフォームのどこが悪いのか、正しいフォームはどうなのか教えることはできる。
 でも直すのはお前だ。選手には2種類いる。
 ひとつはコーチから言われて直して強くなって試合で勝つ者、
 もうひとつはコ ーチから言われても直せないで強くならないで試合で負けてばかりいる者。
 そのどちらになりたい?
 フォア打ちのフォームが直せないならショートや突っつきで試合やってればいいよ。
 厳しい言い方だけど現実だ。」

4.対応の訓練をしない生徒に対して、
 フォアクロス打ちなどの試合にない打ち方をしている生徒に対して
 「卓球の試合はそんなんじゃないんだ。
 どんな風に来るかわからない相手からのボールに対応していくスポーツだ。
 だからお前は卓球なんかやらないで砲丸投げをやっていろ。」
 レシーブの時の構え、カットの出し方にせよ決まった形はない。
 ペンホルダー表ソフトの選手でレシーブの時顔の前にラケットを置く選手がいれば
 台の下に置く選手(中国の世界1位)もいる。
 自分が色んな技を持って有効に対応していけばいいんだ。

5.フットワークのやり方<動かぬ方対動く方>
  動かぬ方がバック側からストレートに、相手が突っつきで返せるサーブを出す。
 動く方はバック側からフォア側へ伸びて突っつきで、ストレートに返す。
 動かぬ方はバッククロスへ突っつく。動く方はフォアで回り込んでクロスにドライブする。
 (つなぎのドライブでもいいから。)動かぬ方はストレートにショートする。
 そこからフォア・バック交互にフットワーク(動く方が)。動く方は常にバックに返す。
 しかしフットワークラリーが何往復か続いたら動く方がフォアに打つ。そこからオールラウンド。
 サービスは試合で使う、そして相手が突っつきで返せるサーブを出すこと。
 そうしないとサーブの練習にならないしレシーバーの練習にもならないから。
 (サーブ練習とかレシーブ練習とか いう場面はない。)
 「最近お前たち、試合で出すサーブを出してないなあ」と時々言う。上に述べた通り、
 サーブ・レシーブ・突っつき・ドライブ・ショートが普通にできないと
 フットワークする資格がない。
 なぜなら試合ではサーブミスやレシーブミスなどでラリーが終了する。
 フットワークする必要がないんだ。

6.強い選手と弱い選手がコートを挟んで練習する場合
  例えば1の(3)で述べたようにロングサーブがバッククロスに来て
 ショート対ショートになった時、
 強い生徒は相手のバックに返さなければいけないが弱い側は相手のフォアに返してもよい、
 というように強い側にハンデを乗せることで両者にとって有効な練習となる。

7.ドライブマン
  より早く回り込んで最も打ち易い場所に立ち、適切なバックスイングをすること。
 このバックスイングが最も大切。
 より早く回り込みが終われば余裕を持って、最高の打ち方を選べる。
 不適切な打ち方をした生徒に対して「今の打ち方でよかったのか?」と問う。

8.球質の読み方
  相手がサーブの時もう片方の手で打点を隠す場合では読みにくい。
 でもバウンドの仕方やボールのマークが見えるかどうかを手掛かりに判断する。
 難しいが読まなければならない。

9.ジャンプトレーニングについて
  卓球の試合では両足が同時に移動したり
 片方の足を蹴ることでその足と逆側に跳んだりする場面があるので
 そのためのジャンプトレーニングがあるが今は座敷にすわっているので実演説明できない。

10.その他の練習
  試合の中で想定できるラリーのための色々な練習法があり、
 例えば「ハヤブサ」という練習法がある。
 「今からハヤブサやるからな」と言って生徒たちに「ハヤブサ」をやらせる。

 それから1つ1つを詳しく伺いたかったが「飲み会終わり」の声が出たので
それらを話題にできなくなってしまった。
その先は自分で考えろ、と本橋先生は自分に言いきかせた。

本橋先生:瀬木先生のイメージは、生徒を殴りつけてわめきちらして
    スパルタで生徒をふるえ上がらせる、というイメージだったんですが。
瀬木先生:2時間半練習する。6日やって1日休む。スパルタではない。短時間で頭を使うタイプだ。
本橋先生:試合の色んな場面を想像してそれぞれの場面で対応できるように試合のラリーを
    練習していくし、試合の色々な場面を真面目に細かく見ていけば色々な練習法が
    見えてくる、ということですね。
瀬木先生:そう、そう。(解散)

 このメモを本橋先生から試合の翌日にいただきました。
そして瀬木先生にファックスで送って校正していただくという熱心さに、さらに感動しました。


 後日、話を伺ったときに、瀬木先生自身、今が一番強いと言っておられた。
昨年の全国教職員大会の40代で3位、今年は優勝を狙って練習しているという。
その取り組む姿勢といい、頭で考える卓球理論といい、見習わなければいけないと思うと同時に、
自分自身、一流の人から学ぶ機会を増やさなければいけないと痛感しました。   


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