| 卓球 卓球と脳(3) 〜「卓球レポート」より〜 |
NO.45 |
2000.1.7作成
前回の続きです。
卓球は脳の血流を増加させる
(森) 3番目の研究成果は、卓球をすると小脳、中脳、脳幹部、前頭葉の血流が増加することを発見したこと
です。頭の「血のめぐりがよくなる」のだから結果的に頭の働きに好影響を与えますし、脳のリハビリにも良い
わけです。
実は、あらゆるスポーツにおいて、今までに脳と血流の関係をSPECTという機械を使って定量的に調べた
データはありませんでした。脳の研究データは数多くあるのですが、「スポーツと脳」の分野では、私たちが
調べたデータが世界初なのです。これは「卓球が好きで、脳の仕事をしており、しかもスポーツと医学が分かる」
アルメイダ病院の佐藤先生がいたから初めてできたことなのです。

(佐藤) 表6を見てください。これは62歳の右側にマヒのある男性患者に卓球をしてもらい、脳血流を調べたもの
です。卓球療法の前と比べ後の方には明らかに血流の増加が見られます。

表7は53歳の男性国体選手で、これは森先生です(笑)。血流が悪い状態を黒から青、良くなるに従って
黄から赤の色で表し、それを脳のCTスキャナと同じような約1センチのスライス幅で血流という形で画像に表した
ものです。10分間の打球後、顕著に脳血流が増加しています。
血流の増加には個人差があり、また体調によっても変わります。注意しなくてはいけないのは、体調が悪い人
や、普段運動してない人が準備運動もなく急に激しい運動をすると脳血流が逆に減る可能性があることです。
軽い運動であればよいのですが、激しい練習に慣れていない選手が倒れる寸前まで運動すると血が筋肉の方に
いってしまい、脳貧血の状態になることもあります。これは心臓も同じで、あまり過激な運動をすると、心筋梗塞を
起こしたり、脳貧血で倒れたりして危険です。
一般の人が行う運動は、健康に適した運動量があり、これを「にこにこペース」と言います。これは体にあまり
負担をかけない状態で運動を10分以上続けるペースです。こういうやり方であれば脳血流も増え、健康増進に
なります。一方、スポーツの一流選手たちは、自分の運動するペースを心得ています。例えば、森先生のように
国体に出場しているクラスの選手であれば、激しい練習をしても体がそのペースを理解して効果を挙げることが
できます。ところが、ペースの分からない初心者がいきなり激しい練習をするのは危険なわけです。運動選手で
あっても、各人のレベルに合わせて徐々に練習強度を上げていくことが必要です。