卓球 40ミリボールに 
     〜「卓球レポート」より〜
 NO.57 

2001.2.18作成

●2001.2.12 北相冬季大会団体戦  県央体育センター

 今年度最後の北相冬季大会団体戦が行われました。この大会で38ミリボールの試合は最後になります。

試合の合間に時間があったので、新しい40ミリボールで、大和東高校の瀬木先生に相手をしていただきました。

   佐藤 × 0(-9,-13   )2 ○ 瀬木

       × 1(-16,18,-17)2 ○ 瀬木

 いきなり40ミリボールで試合したので、散々な結果でしたが、38ミリボールとの違いが少しわかっただけでも

収穫でした。これから40ミリボールにどう対応していくのか、考えていかなくてはなりませんね。


 「卓球レポート2月号」に12月に行われた全日本選手権特集がありました。国内で初の40ミリボールを

使用した公式試合ということで、参考にしたいと思います。

〔観客席からの視点〕
●意識して見ると、ボールが少し大きくなったと感じる。見やすくなった
●男子の試合では前〜中陣でのドライブの引き合いが多く見られた。ラリーが続 くので、おもしろい
●女子の試合は前陣での速い卓球が目立った。ラリーが長く続くことが多く、見 ごたえがあった
●ボールのスピードはやや落ちたと思う
●レシーブミスが減ったとは思わない

〔出場選手の話〕
●強く打ったボールがネットにかかるなど、安定しない。しっかり全身を使って 打たないといけない
●ブロックなど、とっさに反応したボールに対してのミスが多く出た
●練習では打球感覚をつかんでいたが、実際の試合になると思わぬミスが出る
●地方大会ではまだ38ミリボールの試合が多く、うまく対応できなかった
●ボールが軟らかく感じ、打球時に少し違和感があった
●ボールがあまり飛んでいかず、速く打っても返されることが多かった

〔トップ選手の話〕
偉関:ボールのスピードが落ちて、伸びてこない。ラリーが増えたので体力的に苦しく、若い選手が少し有利だと
    思う
松下:少しラリーが続くが、大きく変わったとは思わない。回転がかからなくて不利だと言われるが、そうでもない
真田:今は違和感を感じない。逆に38ミリボールでプレーする方が難しいと思う。ラリー回数は増えているだろう
田崎:40ミリボールへの対応は問題なくできている。欧州選手と比べて、日本選手のボールは飛んでこないと
    感じた
鬼頭:もう40ミリボールに慣れたので、今は以前と変わらないプレーができる。卓球が大きく変化したとは思わない
羽佳:用具の調整が遅れた。相手のボールがあまり飛んでこないし、自分のカットが浅くなってしまうことが
    多かった

〔指導者や専門家の話〕
●ラリーが続いて試合が長くなるため、これまで以上に身体的なスタミナと精神的なスタミナ(我慢強さ)が必要に
  なる
●ボールに「スピードや重さを増し、連続で攻撃するため」には下半身の強さが絶対に欠かせない
●手先の器用さ(打球センス)で勝っていた選手は早い回で敗れた。今後は基礎技術をしっかり身につけること
  が大切
●以前よりもミドル攻めが多くなったと感じた。ミドルに打たれたボールを処理する技術を高めることが必要
●ボールが飛ばなくなったため、もっと相手を前に寄せる技術を研究しなければいけない。短いボールをうまく使う
  ことが必要
●横回転ショートが非常に有効だった。ただ返すだけでなく、横回転を入れたブロック技術を身につけると良いの
  では?
●これからはドライブではなく、スマッシュを打てることが必要。また、スマッシュを身につけるとともに、使用する
  用具の研究も欠かせない


物理の目で見た40ミリボール ―バタフライ研究開発チームから― 「卓球レポート1月号」より

選手の意見に対する科学的考察

 38ミリボールと40ミリボールの違いについて、選手たちの意見を総合するとだいたい次のようになります。
1.ボールのスピードが遅くなるため、飛距離が短くなる
2.ボールにスピンがかかりづらくなる
3.ストップが、これまでより止まる
4.横回転のボールがよく曲がる
5.表ソフトラバーはナックル性ボールが出しやすい
6.バウンド後にあまりボールが伸びない
7.打球時に、ラバーに食い込んでくる感覚がある
8.打球したときにボールを重く感じる
 これらは『重力作用』『空気抵抗』『マグヌス効果』『摩擦力』などの物理法則が関連している現象です。
 また、もう少し専門的な視点でこれらの現象を見てみましょう。
 卓球と物理学との関係について造詣が深い京都大学工学博士である西田薫先生は、これらの意見を一歩
進めて、次のようなことを指摘しています。
1.打球するときにラバーが1ミリへこんだ場合、40ミリボールになるとラバーとの接触面積が約5.4%増加する
 が、ボールの質量も8%増加しているため、単位面積あたりの衝撃力が増す。したがって、ラバーのゆがみが
 これまでよりも大きくなるはずである。
2.ボールの質量が増加しているため、打球時にラバーによる繰り返し応力が増加する。そのため、スポンジの
 疲労が大きく、これまでよりも弾性力が弱まるのが早くなる可能性がある。
3.慣性モーメントの理論によれば、38ミリと同じ力で打球すれば、ボールの回転数が12%減少する。
4.40ミリボールは38ミリボールよりもボールの厚みが2.5%減少し、直径が5%増加している。そのため、
 ボールが軟らかくなり、打球時にボールが変形してエネルギーロスに結びつく可能性がある。
5.ボールのつなぎ目で打球するときと、つなぎ目を赤道とする極点で打球するときの打球感が変化する可能性が
 ある。また、ボールの飛距離に違いが出たり、バウンドに変化が生じる可能性がある。これらは、打球時に
 ラケットに接触する部分のボールの硬さの違いによるものである。
 つまり、38ミリボールに比べて40ミリボールの方が「スピード」や「スピン」が減少するのは、単にボールの大きさ
だけの問題ではないのです。
 ボールの表面積およびボールの厚みなどが関係し、打球時におけるラバーとボールのゆがみなどエネルギーを
ロスする要素が増えるために、ボールのスピードやスピンが38ミリよりも減少する結果となっているようです。

40ミリボールに合った用具とは?

 選手たちが求めている用具は、プレーの観点では「38ミリボールのときと違和感のないプレーができる用具」の
ようです。
 選手たちは「ドライブが飛ばなくなった」「カットが切れなくなった」というように、38ミリボールのときと比較して、
これまでと同じようなスイングでイメージするボールが打てなくなったことに、もっとも困惑しています。
 ここから考えると、40ミリボールに合った用具とはどんなものなのでしょうか。これを予測すると「弾みのいい
用具」、すなわち「弾性の高い用具」が40ミリに適していると言えます。(以下略)


 40ミリボールになり、用具を見直す必要もあるし、自分のプレースタールも修正する必要もあるかもしれません。

これからは40ミリボールにどう対応していくのか。38ミリと同じ打球感になるように用具を替えたり弾む接着剤を

使ったりするのか、あるいは40ミリに合わせた卓球スタイルに変えていくのか、これからの課題だと思います。


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