| 卓球 「卓球戦術ノート」(2) 〜戦術の勉強〜 |
NO.76 |
2002.12.5作成
今回も、卓球王国ブックスから出ている「卓球戦術ノート」(高島規郎著)という本で、戦術について勉強して
いきたいと思います。今回は、第2章 勝つための戦い方―スコア・マネジメント から、ためになった部分を
まとめておきました。
1.スタートダッシュのかけ方
・ゲームオールジュースで勝つ。そのためにまずスタートでリードを奪う
ジュースの展開に持ち込むためにはやはりスタートダッシュが必要である。スタートでリードされて、それを
ばん回するためには大きなエネルギーを使う。それならばスタートダッシュをかけて、先手先手で攻めていけ
ば、リードを奪えるし、悪くてもジュースまでいけばいい。11点制ではレシーブの時は1本取れば計算どおり、
その代わりサービスの時には2本全部取るつもりでいく。もしレシーブで1本も取れなくても、サービスで全部
取るということが重要になる。したがって、11点制では徹底してサービス力をアップしなければならない。
・スタートでは得意なサービスを使い、効いているサービスは変えない
初心者や中学生に戦術を理解してもらうためには、攻めをパターン化させることが大切である。試合巧者に
なるためにはパターンをたくさん作ることが重要で、サービスからの3球目のパターンを20種類以上持って
いて、それで得点できれば試合では勝てる。そのパターンを作っていくのが自分のシステム練習になり、その
組み合わせが「戦術」である。その戦術をどの場面で使うかが「作戦・戦略」になる。
・レシーブでの3つの優先順位
攻撃選手のレシーブの原則は、レシーブ攻撃が優先順位の一番目。次に、巧妙なサービスを出された時に、
レシーブ攻撃はできないにしても、相手に3球目攻撃をさせないレシーブのコース、変化をつけることが二番
目。そして、相手サービスの変化が全くわからない時には、高く浮いてもミスをしないように相手コートに入れて
いくレシーブ。3球目攻撃はされても4球目でカウンターを待つのが優先順位の三番。この3本立てのレシーブ
を考える。
(ケーススタディ)宮崎義仁対陳新華に見る情報分析とスタートダッシュ
9−1でリードしていようが、10−0でリードしていようが、「ゲームオールジュースで勝つ」という心がけと戦術
を頭に置いておけば、追い上げられても動揺しない。そして、より勝利に近づくために「スタートダッシュを
かける」ことに集中していく。これが勝利の方程式である。
2.11本制での先行逃げ切り戦術
・11点制のゲーム展開は早い。エンジン全開の状態でスタートを切ろう
ジュースで2点連続取ったら勝てるように、その心理状態でスタートからダッシュをかけ、先行して逃げ切る
のが11点制のセオリー(理論)になるだろう。つまり、心理的にはスタートしてからすぐにジュースでやっている
感覚でゲームを進めていくことになる。
・相手のサービスや得意技、メンタルの分析をして、ウォーミングアップを入念に行い、最高の1球目でスタート
する
相手の情報、戦術を分析すると同時に、自分自身もスタートダッシュを切れるような体と心が必要だ。意外と
自分自身の準備不足に気づいていない人が多いのではないだろうか。ルーティン―つまり日常の段取り、自分
がやるべきこと―を最近の選手はやっていない。冬場であれば、ひと汗かくくらいのウォーミングアップをやって
いるのか。”ジュースになった時の、ここ一番の一球”というくらいの気持ちでスタートダッシュの準備をしっかり
としていないといけないだろう。
・緊張感による心拍数の高さを、ハードなウォーミングアップによる心拍数上昇に変える
緊張したら、その緊張を良い方向に導いていけばいい。わざわざリラックスする必要はない。卓球の試合は
ある意味での戦闘、闘争だから、リラックスしすぎたら戦いはできない。闘争心をかき立て、テンションを上げて
相手にぶつかるようなスタートの仕方をするべきだろう。異常緊張ではなく、自分の性格に合った緊張度を作る
ための準備方法を、各自が見つけていかなくてはいけない。
・ファイトむき出しのメンタルではなく、闘争本能が50%、知的な部分が50%の状態で戦おう
集中力が最高の状態になった時には「無心」「無我」という言い方をする。そして、試合中の選手には
闘争本能と、それを抑制する知的な部分が同居する。闘争本能が50%、知的な部分が50%で、それが
ドッキングした時が一番良いのではないだろうか。
3.試合の後半、ジュースで勝つ
・後半から逆転を狙う。一番効いているサービスを使い、組み立てられた戦術を貫く
後半リードされて、自分のサービスになった時の1本目のサービスは、その時点で一番効いているサービスを
使う。それまで出していないサービスをいきなり使うのは得策ではない。また、レシーブになった時は、弱気に
なりがちだが、逆転するためにはそこで強気のレシーブをしなければならない。とは言え、レシーブから強引に
打つ人は勇気のない人で、強気ながらもレシーブを確実に入れていく選手のほうが相手にとっては怖い。
(ケーススタディ)中盤から終盤にかけて持久力と一貫した作戦でカットマンを破る郭躍華
プレーヤーが、自分自身で描いた勝利へのストーリーを貫いて戦えるのか。一進一退の攻防の中でその
緊張感に耐え、後半へ闘志を燃やすことができるのか。それとも、大量リードで迎えたところで油断して、逆転
を食らうのか。あるいは、逆に大量リードされたところから、あきらめずにジリジリと相手との差を詰め、後半へ
の大逆転のシナリオを作っていくのか。11点制では選手のタフなメンタルが試される。
(ケーススタディ)ゲーム後半、球質に変化をつけた河野満。ゲームを取るまで一貫した戦い方で大逆転した
松下浩二
逆転勝ちができるかできないかは、サービス力の差による。後半になって新しいサービスを使うことは
現代卓球ではふさわしくない。得意なサービスは前半からどんどん使っていくべきである。とは言え、試合の
後半では秘策がなければいけない。秘策というのは、ここ一番にしか出さない作戦。それを後半で使える人は
強い。
・ジュースに追いついてタオルを取る人は負けることが多い。追いついたら一気に勝負をかける
戦い方の基本は、”ジュースになって勝つ”こと。ところが、ジュースに強い人と、弱い人がいる。ジュースに
強い人にはそれだけの要因がある。それまでの積み重ねの中で、一番有効で確実性の高いものを相手に
ぶつけていくしかない。その選手の考え方、戦い方の凝縮されたものが”ジュース”という局面で出てくる。
(ケーススタディ)技術と心が同じレベルになり、気持ちの揺れが逆転負けにつながった田崎俊雄
ヨーロッパ選手で世界のトップクラスになる人は、共通して後半になると思い切りが良くなる。彼らは”勝負球”
を持っていて、『こんなボールは打たないだろう』というボールを打ってくる。
どのような展開になっても、ゲームの後半を恐れてはいけない。卓球のゲームの中でもっともスリリングで、
エキサイティングな瞬間なのだから、その局面を楽しもう。
4.逆転勝ちと逆転負けのゲーム
・卓球のゲームはスコアの勝負。試合の「スコア・マネジメント」が重要になる
卓球のゲームそのものは、「スコア」がすべてを決めている。だから、どのように自分の得点を積み重ねて
ゲームを取るか、という「スコア・マネジメント」が重要になる。
(ケーススタディ)世界選手権の個人戦―心理面の乱れで、18−12から逆転負けした渋谷浩
大舞台の競った局面で選手は非常にナーバスになる。
・リードしていても追いつかれる時が来る。そこからが勝負
リードした時に、「今はリードしていても後半で追いつかれる時が来る。そこからが勝負だ」というプレッシャー
を自分に与える。そして、実際に追いつかれた時に、そこで自分へのプレッシャーを解き、勝負をかける。
それがリードした時の心理戦術だ。
・どのように勝利をつかむのかという青写真、それがスコア・マネジメント
同じスコアでも、その時の心理状態でスコアの持つ意味は大きく変化する。卓球は形をきれいに見せる競技
でも、タイムを争う競技でもない。いかにして相手より早く最後の1本をとるかというゲームだ。そこで必要になる
のは、どのように勝利をつかむのかという青写真、つまりそれが「スコア・マネジメント」なのだ。
そしてその「スコア・マネジメント」をコントロールするのが、気持ちのコントロール、つまり、「メンタル・
マネジメント」なのだ。
5.ジュースになった時の戦い方
・ジュースになる3つのパターン。心理面で揺れ動かないことが大切
10−10のジュースになった時に心がけることがある。それは、心理面で揺れ動かずに、相手のサービスや
レシーブのテクニックのパターンを読んでいくことだ。
・試合前にジュースになることを想定し、その局面で何をすべきかをイメージしよう
ジュースになったらそれまでの勢いはあまり関係ない。その時点で五分五分であり、0−0として両者が対峙
する。この時に、ジュースまでの相手のサービスとレシーブのパターンを記憶しておいて、何をやってくるのかと
いうことを読んでいくことが大切になる。”こんな時にこんなサービスを出すのか、こんなレシーブをしてくる
のか”という相手の意表を突くことが試合の終盤では重要なのだ。
・ジュースではそれまで効いているものを使い、間をおかずに一気にいく
「勝負強い」と言われる人は、作戦的に「迷いが出ない」人である。迷いのある人は往々にして勝負弱い場合
が多い。
・心が揺れ動いた人がジュースでは負ける。技術と戦術の組み合わせで最後の決着をつける
卓球というスポーツは身体接触はないが、3mという至近距離で戦うスポーツだから、そこではメンタルの強さ
が必要になってくる。そのため、試合の流れの中で精神面が揺れ動いたら負けてしまう。心理的に相手と互角
に持っていき、その上で、技術と戦術の組み合わせで、最後の決着をつけなければいけない。
6.ゲームオールジュースのための心理戦術
・力が五分五分なら競り合いになる。ゲームオールジュースで勝つ組み立てを作ろう
高度なレベルになればなるほど、相手の目や体の動き、表情、しぐさなどで、相手の心理を見抜く選手が
いる。卓球の達人と言われる人は、そういう相手の動きですべての心理状態を見抜くだけの「読み」を兼ね備え
ている。リードした時に油断しているとか、逆にリードされた時に落ち込んでいるとか、競った時にあわてている
というのが相手に悟られたら、その試合では勝てない。
・表情を表に出さないポーカーフェイスは、「勝負強さ」のひとつの条件
勝負強さのひとつの条件は、「感情の起伏が表情に出ない」「態度に出ない」こと、つまりポーカーフェイス
なのだ。精神的な揺れ動きを相手に見せないことで、相手に対して精神面では負けない状態を作る。競り合い
になればなるほど、試合の後半になればなるほど、自分だけでなく、相手にとってもプレッシャーはかかるもの
だ。ポーカーフェイスで戦う人は、プレッシャーを受けていることを相手に見せないことで、逆に相手に
プレッシャーをかけていることになる。
・相手に卓球を教わるという、謙虚な気持ちを忘れてはいけない
いざコートに出てゲームになったら、そのゲームが終わるまで、相手がたとえ子どもでも、女性でも、お年寄り
であっても、「自分は修行の身である」「自分はこの人に卓球を教わるんだ」という謙虚な気持ちで戦うことが
いかに大切か。おごった気持ちでコートに入ってはいけない。
7.試合を捨てるか、試合を拾うか
・負けゲームだと思った瞬間に、「ムダな抵抗」ではなく、「有効な抵抗」をする
極端な言い方をすれば、自分が「このゲームは勝てない。このゲームは負けゲームだ」と思った瞬間に、次の
ゲームは始まっている。だから、そこで「ムダな抵抗」ではなく、「有効な抵抗」をしなくてはいけない。それが相手
にプレッシャーをかけることになる。
・大量リードした時にムダな一球は打たない。大量リードしたら、1本も取らせず仕留める
試合では「こんなことは起こらないだろう」ということが実際に起きる。特に自分が連続得点したのなら、自分が
連続得点されることはあるし、自分がネットインやエッジボールでラッキーポイントをあげたら、相手にもそれを
やられる可能性はある。
勝負の世界には「絶対」ということはない。