| 卓球 「卓球戦術ノート」(5) 〜戦術の勉強〜 |
NO.79 |
2002.12.8作成
今回も、卓球王国ブックスから出ている「卓球戦術ノート」(高島規郎著)という本で、戦術について勉強して
いきたいと思います。今回は、第5章 40mmボール時代を勝ち抜くには から、ためになった部分をまとめて
おきました。
1.日本選手が目指すべき戦型とは
・40mmボールになり、有利な戦型になる可能性がある「前陣速攻型」
(表ソフト速攻型)
40mmボールでは、スマッシュするか、ドライブでつなぐかと迷った時に、必然的にスマッシュで攻撃すること
が重要なポイントになる。もちろん、速攻型がスマッシュした場合、以前よりスピードが落ちるのは仕方ないが、
連続攻撃できるプレースタイルを目指すことによって、表ソフト速攻型が再び世界を狙えるはずだ。
・ブロックの変化球から、フォアハンドスマッシュの連続攻撃ができれば、日本独自のスタイルが生まれる
(シェークハンド攻撃型)
スマッシュ技術は、日本選手のほうが潜在的に上手なはずだ。世界的流行のドライブに目を向けるのでは
なく、変化のあるブロックとカウンター攻撃にプラスして、スマッシュの連続攻撃ができれば、日本独自のプレー
スタイルが生まれる可能性は大きい。
2.40mmボールでの日本選手の戦い方
・日本のシェーク選手はクレアンガのように両ハンド強打でラリー戦を制圧しよう
日本のシェークハンドの選手が、台のそばで小さいフォームで打球していては、ヨーロッパの選手に太刀打ち
できない。日本伝統のフットワークを生かしながら、両ハンドでフルスイングしていくプレーを身につけることが
先決だろう。
・40mmボールになればラリーは続き、筋力の差が今まで以上にボールの力になって表れる
38mmボールと同じスピードを40mmボールで出そうと思ったら、より速いスイングで打つか、より重い
ラケットで同じスイングスピードで振るしか方法はない。つまり、筋力がより必要になる、筋力がある人と筋力の
ない人の打球は、今まで以上に差が出ることになる。
・パワー対パワーの戦いになるのは避けては通れない。卓球スタイルの変革を時代が求めている
40mmボールの採用は、明らかに、従来の卓球スタイルを変えた。確実にラリーは長くなり、より体力的要素
を必要とする卓球とスタイルの変革を時代は求めてくる。ラリーが続くと言っても、ゆるやかなラリーを予想し、
テクニックだけを追いかけるのではなく、ラリーが続く中で、いかに38mmのボールスピードを取り戻すのか、
いかに前・中陣で攻めるのか、いかにパワーボールを打つのかという点を考えるべきだろう。
3.40mmボール時代のプレースタイル
・下から上へのスイングでは飛んでいかない。水平方向のスイングでドライブとスマッシュを打つ
38mmボールと40mmボールを、同じドライブ打法で同じ打球点で打って比べてみると、40mmボールの
ほうが失速して、ネットミスしやすくなる。これはボールが重くなったから落ちるのではなく、回転量が落ちたため
で、ボールはネット側でグッと上がらずに失速する。
今までドライブする時には下から上へスイングしていたものが、最初からドライブする時もスマッシュと同じ
くらいの高さからドライブスイングする。つまり、より水平方向のスイングをしていくことが必要になる。
(ペンホルダードライブ型)
ペンホルダードライブ型は、今まで以上にフォアハンドの手首の使い方に気をつけなければいけない。
ラケットヘッドが腕の延長線上に来て、ラケットを水平に動かせるようなグリップに切り替えることができるなら
ば、スマッシュはもちろん、ドライブ系スマッシュとも言うべき、回転のかかったスマッシュも打ちやすくなる。表
ソフト速攻型でもペンドライブ型でも、40mmボールはバック系技術はやりやすい。簡単に打ちやすい分、従来
のショートを全部プッシュショートにするべきだろう。あとはナックル性ショートを身につけることが重要になる。
(ツブ高ラバーを使うスタイル)
異質反転攻撃型のようにツブ高ラバーを使うスタイルの場合、ブロックした時にいかにナックル(無回転)に
して返せるかがポイントになる。打たれた時にカット性ブロックにするのではなく、斜め回転にしたり、サイド
スピンにして、よりナックルボールに近い球質を作り出すことが大切だ。
(カット型)
カットマンは戦術の三本柱を考えることが重要だ。
ひとつは、総合的なフォアハンドとバックハンドの攻撃力を身につけること。ふたつ目は変化カット。切る、
切らないの縦回転の変化と、左右に横回転をかけたカットを混ぜながら球質に変化をつけることが効果を発揮
する。そして、浅く入るカット、深く入るカットを混ぜながらの長短の変化も有効だろう。3番目は守備範囲。
40mmボールになって、カットマンの動く範囲は広くなった。守備範囲の広さが必要になってくる。
4.40mmボールに合わせて打法を変えよう
・今までのブロックしていたボールをカウンターで打ち返すことができる
まず打法を変えることをしなくてはいけない。
ブロックする時でも、40mmボールでは今までと同じ当て方だとネットミスが多くなる。もっとラケットをフラット
にして、もっとインパクトを強くして、バックハンドでは肘を伸ばすような打ち方にしないとネットミスをする。
その代わり、時間的にわずかに余裕が生まれる分、今までブロックしていたボールをカウンターで打ち返すこと
ができるようになった。
・日本選手が目指してはいけないのはドライブ型である。ドライブ型を目指す人は世界では勝てない
スマッシュはナックル気味のボールが繰り出せて、相手への威圧感もある。ドライブはあくまでもつなぎの技術
でスマッシュに結びつけるためのものと自覚することが大切だ。もしドライブを決定球にしたいというプレーヤー
は、筋力がなければ40mmボールになった時には通用しないことを肝に銘じておこう。
5.40mmボール時代の選手に求められるもの
・カット型はカットスイングを変えると同時に、用具を替えていく必要がある
一番早い対処法は、用具を替えることだ。スポンジを厚くしたり、ラケットを弾むものにしたり、ツブの高さを
替えたりすると、少しは解決ができるはずだ。また、カット型の裏ソフト面も替える必要があるかもしれない。
・積極的なバック系技術を求められる速攻型。ボールを手元に呼び込み、ボールを飛ばしていくドライブ型
従来の38mmボールよりも、わずかに時間的な余裕がある分、40mmボールではもっとバックスイングを
大きくとって打球しないとボールは飛んでいかない。相手ボールのスピードが若干遅く、回転が少ない分、相手
ボールの力を利用して飛ばすのではなく、自分の力でボールを飛ばすという意識を持たないとボールは飛んで
いかない。
・台上処理をさらに厳しくする。日本選手は緻密な戦いを挑むべきだ
40mmボールでプレーする時の一番の違いは、実は台上ボールである。フリック、ストップなどのレシーブの
しやすさを考えると、40mmボールでは、相手のサービスの回転量が減っているため、台上処理はしやすい。
もっと積極的にレシーブで得点を狙うとか、もっと極端に小さくストップするとか、もっと極端に深く送るとか、
台上処理を工夫していくことが必要だろう。
6.体力なき者は40mmボールでは生き残れない
・下半身が強くても上半身が弱いと、そのパワーは指先に伝わらない
ルール(ボールの大きさ、重さ)が変われば、用具も変わる。用具が変われば、戦術も技術も変わる。
改善点のひとつが、用具を変えること。ラバー、ラケット、用具の重さを工夫する必要がある。もうひとつは、
日本のジュニアから一般にかけて体力トレーニングをより重要視することだ。さらに具体的に言えば、それは
上半身の強化になる。
・40mmボールになって、体力の裏づけがないままに力を入れるために故障する選手が出てきている
38mmボールでは生かされなかったスピード、巧緻性が40mmボールでは生かされ、新しい卓球ができる
可能性が大きい。
7.11点制の戦術をどう組み立てるか
・戦術1―ゲーム前のウォーミングアップに十分時間をかける
2、3本リードされるとばん回するのが困難になる。特に1ゲーム目のスタートダッシュが、そのゲームの勝敗
に影響するため、もともと、スロースターターの選手は、ゲーム前のウォーミングアップに十分時間をかけること
が大切である。21点制ゲームより、より積極的な準備が必要になる。
・戦術2―効果のあるサービスは使い続ける
先行逃げ切りのゲーム展開が理想的になる。まず、相手より1本でも先にポイントすることを心がける。
そのためには、もっとも得意とするサービス・レシーブから入ることである。また、そのサービスやレシーブが
効果的であった場合は、サービスを変えたり、レシーブを変えたりせず、効果がなくなるまで連続して使っていく
ことで、11点制ではペースをつかむことができる。徹底したサービスからのパターンとレシーブからのパターン
を使いながら攻撃的なシステムを作ることが重要になる。
・戦術3―試合の出足から最高の集中力を持続させる
11点制は、試合運びが非常に難しい。ゲームごとに勝負がつくのが早いので、最初から緊張感がピークに
達した状態で試合をしなければならない。つまり、集中力の持続と、ここ1本という時の高度な集中力が発揮
できなければ勝利することは困難である。
11点制では、凡ミスの少ないタイプの選手が勝ちやすくなり、最高の集中力で、連続ポイントを取ることが
勝者の絶対条件となる。
・戦術4―サービスの2本交替は冷静沈着さが要求される
40mmボールの11点制では、やはり、ラリー戦になることが多い。凡ミスを少なくしようと心がけることに
より、選手自身がコントロール(安定性)を重視する傾向が出てくるだろう。
11点制のサービス2本交替は、そのサービス、レシーブ時での冷静沈着さが、21点制の時より何倍も必要
になる。
・戦術5―単調なラリーではなく、相手の逆をつくコース
中・後陣のタイプであっても、前陣でのカウンターもできるような、今まで以上に特徴のあるプレーが望ましい。
したがって、用具の改善やフットワークの見直しを当然考える必要がある。カット型のラリー戦についても、長い
持久戦でのラリーではなく、相手に余裕を持たせない積極的な仕掛けのある変化プレーが、今まで以上に要求
される。ただ単に、前後に動いてしのぐのではなく、カットかアタックか、相手の逆をつくタイミングやコースを
磨かなければならない。
・戦術6―ゲーム展開が早いので気持ちの切り替えをすばやく行う
11点制では、ゲームが短い分、自己分析が中途半端なまま、次のゲームを迎えなければならないことが多く
なる。
得点する時には、速攻戦で短いラリーでポイントをあげ、失点する時には、粘りに粘ってポイントを失うと
いったパターンに持ち込むことが、勝利への鉄則と言えるだろう。
・戦術7―スタートから全力集中する気力と闘争心が必要
1ゲームに懸ける闘争心を養うことが大切であり、野球で言えば、後半の詰めの場面でリリーフしてくる
ピッチャーのように、全力投球と一球に懸ける闘志が必要になる。1ゲームを時間的に見ると、気を抜くヒマも
ないほど、早く勝負が決まってしまう。つまり、5ゲーム中、全ゲームを全力投球、全力集中するだけの気力と
闘争心の強さがなければならない。