卓球 「闘将 吉田安夫」@ 
           〜アクセス60000達成〜
 NO.89 

2003.9.15作成

 このホームページも、昨日でアクセス件数が60000を越えました。予想以上の多くの人に見て頂き、

本人もビックリしています。いろんなことを勉強しながら、これからも続けていきたいと考えています。ホームページ

の容量が50MBを超えてしまい、最近、プロバイダも「KIWI」に変更しました。今度は100MBもあるので、

容量を気にすることなく作っていけると思います。今後とも、よろしくお願いします。


 最近、卓球王国から出ている「闘将 吉田安夫」という本を読みました。全国優勝100回以上―、その指導法

とは…。第一編 全国優勝109回の軌跡、第二編 勝つチームはこうしてできる の2部に分かれていたので、

その中から、勉強になった部分を少し紹介したいと思います。

 今回は第二編、第一章 指導者の条件からです。


人を動かすのは言葉ではない

 次に指導者に不可欠な資質である情熱について述べよう。
 現在、私は青森山田での練習日には、トレーニングウェアを着て、生徒たちが集まってくる三十分前には練習場
に行き、窓を開けて空気を入れ換え、バケツに水を汲んで床を雑巾がけしている。特に、選手が立つ卓球台の
後ろはシューズのゴムが擦れて汚れが激しい。放置していたらその汚れにつまづき、転倒する恐れもある。選手が
練習に集中できる環境を整え、また選手の怪我を未然に防止するのも監督の役目である。
 私は練習場を掃除して生徒を待っている。それだけで、生徒は練習時間に遅れることがなくなる。
 選手が力をつけるのは、選手がやる気を起こして自発的に練習に打ち込むときである。
 そうした選手の自主性を引き出すのが指導者の情熱なのである。情熱が選手を引きつけ、選手を伸ばす最大の
要素と私は確信している。
 子供は親が想像する以上に親の姿を見ていると言われる。同じように選手も監督の一挙手一投足を見ているの
だと私は思う。特に卓球部のような少人数の集団では、監督の燃焼度はストレートに選手たちに伝わる。それだけ
に、率先垂範、燃える後ろ姿で選手を引っ張ることが大事である。監督が燃えなければ、選手は燃えないので
ある。
 ただ、ひとつ付け加えておきたいのは、燃えるあまりに興奮して、選手の心情を無視した指導に突き進まないよう
にすることである。いわゆるスパルタ指導で、ミスや欠点を叱責する指導者があるが、それは選手の心理やプレー
を萎縮させるだけであり、潜在能力の芽を摘む結果になりかねない。よく、名選手必ずしも名監督ならず、と
言われるが、それは名選手として名を馳せた監督は、ある意味で自分を絶対的に信じており、自分がイメージする
通りに選手が動かないと苛立って冷静さを欠いてしまうからではないだろうか。
 それはともかくとして、私が指導者の条件として掲げる情熱は、まず、選手に対する愛情を原点として、常に理想
を描き、目標に向かって熱く燃えることなのである。
 よく選手と話し合い、練習においても明確な目標を掲げ、選手と一心同体になって努力する。こうした指導者に
率いられるチームは、必ず勝てるチームへと成長を遂げる。

強くする「三気」と「三信」

 「チームを強くしたい」という気持ちから私の卓球は始まっている。
 卓球部に入部して間もない頃、私は県大会に出場した先輩たちの応援に行き、初めて卓球の試合を観戦した。
しかし、そこでは先輩たちが他校の選手にこてんぱんに負けていた。それを見て悔しくて悔しくて「よし、俺の手で
熊谷商業を県下一にしてやるんだ」と決心した。いわゆる負けじ魂というか、コンチキショウ精神と言うか。
その反骨精神から、私は卓球に必死に取り組むようになった。
 指導する側も、この「強くしたい」という気持ちから始まるわけだが、実際に強くなるのは選手である。では、
どうすれば選手を強くできるのか…。
 選手が強くなる第一歩は、「卓球が好きになる」ことから始まる。”好きこそものの上手なれ”という例えの通り、
何事においても、強くなる基本条件は好きになることである。好きなことには自発的に時間も忘れるほどに集中
できるからだ。
 私の指導体験から言うと、卓球を好きにさせるには、チームのユニフォームを着たばかりの選手は叱らず、
まず勝たせることだ。選手にとっての最大の栄養は、勝つことだ。勝つことによって、それが喜びとなり、さらには
卓球が本気で好きになり、上に挑戦する気構えになるものである。
 したがって指導者は”勝たせる”ことに専念する。そして、成果を挙げたら選手を褒め称えることである。学校で
あっても職場であっても、大勢の前で褒められたり、認められることはとても嬉しいことであり、感激するものだ。
 私は全校集会をうまく利用したり、校内新聞、時にはマスコミを利用して宣伝にも役立て、ムードの高揚に努めて
きた。
 だが、好きでありさえすれば絶対に強くなれるかと言うと、必ずしもそうとは言い切れない。例え卓球がメシより
好きであっても、それが単なる暇つぶしであったり、勝ち負けだけの遊びにすぎないうちは、ある程度までしか強く
ならない。
 そこで、好きに加えて、一丁強くなってやろうと座り直す”やる気”が必要となってくる。私が指導者になってから、
熊谷商業を日本一にしようと強く決心したのは、昭和34年の名古屋インターハイの閉会式のときだった。
男子団体が東山高の初優勝、女子が柳井高の三度目の優勝の時である。この時の熊谷商業は個人戦のみの
出場で、淋しい思いをしていたからである。
 やる気さえ起こればしめたものだ。黙っていても、強くなる方法をいろいろと自分から探るからである。どうすれば
強くなれるかを考えてチームづくりをする、練習計画を立てる、戦力を分析し検討する、わからないことは他人に
訊く、卓球の本を読む、強い人の試合を観る…。ためになることなら何でもやるようになる。
 積極的に進んでやる気になるかどうかが問題なのである。私は昭和31年東京、昭和46年名古屋の
世界選手権大会の審判員になった。審判員なら世界の一流選手を間近に観ることができる。そこで世界一級の
戦術や技術が勉強できると考えたからである。
 次に、いくらやる気を起こしても実際にやらなくては始まらないし、またやったとしても三日坊主で終わっては、
成果は得られない。そこで、続けて実行する”根気”がどうしても必要ということになる。つまり、強くなるためには
「本気(好き)」と「やる気」と「根気」の三つの気が欠かせない要素なのである。
 私はこの三つの気を「三気」と言っているが、三気が揃いさえすれば、選手もチームも強くならないはずはない。
これは卓球に限らず、何事にも通じる上達の必要条件だと思う。
 「三気」とともに、私が45年の監督生活から得た、強くなるための必須条件が「三信」である。「三信」とは「まず
監督は選手を信じる。選手は監督を信じる、そして練習を信じる」ということである。
 何をそれだけ、どのようにやれば勝てるのか、最初は誰もが不安いっぱいである。しかし、指導者が右往左往
していたら、試合では選手が不安になって勝てなくなる。練習でも、疑心暗鬼になって集中力を欠いてしまう。
 私の場合は監督としての実績があり、選手たちが「おやじの言ったことを真面目に聞いていれば、まず間違い
なく俺たちは勝てるんだ」と信じている。それが選手を強くし、現在の青森山田での連覇にもつながっていると思う。
 では、実績のない指導者が「三信」を築くにはどうすれば良いのか。ある名監督は、「カラ元気でもいいから
思い切り元気を出せ」と言った。カラであろうとウソであろうと不安な面持ちを外に出さず元気良くしていれば、
現実にそうなってくるというわけである。
 自信を持つまでには時間と努力はもちろん、実績と体験も必要になってくる。それまでに自己暗示によって、
「良くなる、強くなる」と心に繰り返し、潜在意識の中に信念を擦り込むのである。
 「先ず信じよ」(イエス・キリスト)、「信は万事のもと」(孔子)の言葉もある。洋の東西を問わず、信念はすべての
出発点なのである。

監督の心得

 どのような競技においても、選手は試合に勝つことを望み、指導者は勝てる優秀な選手を育てたいと願う。その
願望を果たすには…。
 私は、必勝への道はまず指導者の情熱と”為せば成る”という強固な信念以外にはないと考えている。最高の
技術を修得することも、必勝の秘策も、その情熱と信念があって初めて生まれる。思いつきや人まね程度のところ
でお茶を濁して考えている限り、秘策はおろか、何ものも生まれ得ない。
 寸刻を惜しみ、寝食を忘れて思案し、創意工夫して考え抜く境地において必勝の指導法と施策がが自得できる
のである。
 果たして、自分が指導者としてそうした境地に入るべく努力をしているかどうか、次に掲げるチーム作りの
ポイントと監督心得の項目に照らし合わせて、自分を振り返って見てもらいたい。

〈チームづくり〉
一、チームづくりに努力し、愚痴をこぼしていないか
二、強力かつ品位のあるチームになっているか
三、温情と厳格さをもってチームを育成しているか
四、素質のある選手を発掘し、鍛えているか
五、学校及び父母、OBなどの理解と強力を得ることに努めているか

〈監督心得〉
一、卓球を通じての人間教育に大いなるプライドと確固たる信念を持つべし
二、卓球に対する情熱と執念、選手に対する愛情を片時たりとも失ってはならない
三、選手の個性と性格を不断に研究、熟知して指導目標を立て、計画的に訓練する
四、常に学び、研究することによって正しい情報を選手に提供するとともに、合理的・科学的な練習法の
  開眼に努める
五、練習内容が惰性になっていないか常に反省し、何時如何なる時でも真剣に集中して取り組むよう、
  常日頃から指導する
六、練習については、ミーティングを時間の許す限り取り、卓球に対する相互理解を深め、指導の
  一方通行を避ける
七、上達への道は基本の繰り返しである。単純な練習であるが、何時如何なる時でも目標を持った、気迫
  のこもった積極的な練習をしなければ効果は上がらない
八、能力の差は小なり、努力の差は大なりと信じ、毎日の指導に専念する
九、選手と接している時間が長いか短いかがその年の成績につながる。万難を排してユニフォームに
  着替え、練習場に出る。指導の上手、下手は二の次である
十、必勝への道においては、監督の情熱と”為せば成る”という信念が最も大切である


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