| 卓球 「闘将 吉田安夫」A 〜練習の心得〜 |
NO.90 |
2003.9.16作成
今回も、卓球王国から出ている「闘将 吉田安夫」という本からです。第二編、第二章 勝てるチームづくりから
勉強になった部分を紹介したいと思います。
練習の心得
私は指導者になったばかりの頃、指導のコツや選手の見分け方などヒントになるものをつかみたい一心で、
国体やインターハイなどの会場で尊敬する先輩監督を見つけると挨拶に行った。山口県・柳井高校の中村清二
監督もそうした監督のひとりだった。
中村先生はいつもにこやかに迎えてくれた。そしていろいろと話はするのだが、いつも私がしゃべらされて
しまって、肝心なことは何も聞き出せなかった。
ただ、ひとつだけ中村先生から教わったことがある。昭和46年の和歌山国体のときだった。
「1ゲームを勝って、2ゲーム目を競って負ける、そして3ゲーム目を簡単に負ける選手はダメだな」
この中村先生の言葉は、今も鮮明に覚えているほど印象が強かった。こうした負け方をするのは試合の流れを
読めず、精神的に弱いからにほかならない。またその精神の弱さは練習の取り組み方から来ている。私は
中村先生が言外にそう教えているように受け止めた。私が練習の心得を改めて考えてみたのはその直後である。
強いチームの練習場はいつも清潔で、ピーンと張り詰めた殺気だった雰囲気があり、選手が気力を充実させて
活気あふれる活きの良い練習をしている。
言い古された言葉だが、「練習は試合のつもりで、試合は練習のつもりでやれ」という教訓はまさに生きている
のだ。最終ゲームに弱気になって、思い切ったプレーができず負けてしまう原因は毎日の練習量が少なく、自分の
技術に自信がもてないからではないだろうか。
「俺はこれだけ練習をやったんだ、やれるだけのことはやったんだ、毎日誰よりも多く汗を流して頑張ってきた
んだ」という心境で試合に臨んだときには、思ったより試合の成績は良くなるものである。それは練習が支える
自信なのだろう。
誰しも自信をもって大会に臨める人はいないと思う。自信がなくて不安が多いから普段の練習も頑張るのだ。
また、毎日の練習も効果を上げるためには常に創意工夫し、努力するのである。
練習とは、自分にできないことをできるようにするのが目的だ。そして、より高い技術を習得するのが目標で
ある。
今している練習が楽で、決して苦しくない練習だとしたら、それは何物かを生み出すための本当の練習では
ない。したがって練習やトレーニングで汗を流し、時には苦しくて苦しくて涙を流すこともある。だが、苦しめば
苦しむほど強くなり満足感を味わえる。
それがやがて自信となり、必ずや実戦で役立つようになる。
「相手に勝つ前に自分に克つ」ことが勝負の道の鉄則である。このような気持ちで毎日励めば、必ず試合に
良い結果が出せるはずだ。試合に強い選手とは、技術が優れているだけでない。とくにチーム戦などで十分力を
出し切り、好成績を挙げる選手は、非常に勝ち気で、意地のある選手だ。まさに大切な一戦になると緊張
しすぎて、自分の持てる力を十分発揮できない選手は気が弱く、おとなしすぎる消極的な性格の持ち主が多い。
「技術を生む精神力」という言葉があるが、一流を目指す者は、日常生活でもまた練習のときでも、自己を厳しく
鍛錬する必要がある…。
私は、このように考え、次のような「練習の心得」をつくった。
一、集中して極度の緊張状態で訓練しよう
一、基本的技術を身につけよう
一、常に頭を働かせて、より実戦的に訓練しよう
一、練習内容と方法の質を高め、より一層効果を上げよう
一、戦術があり、技術があることを自覚して毎日の訓練に励もう
この練習の心得を、私は熊谷商業、埼工大深谷高、そして青森山田高においても選手に説き続けてきた。
「才能とは努力できること」なのである。