| 将棋 「最強将棋道場」@ 〜四天王インタビュー(森内編)〜 |
NO.1351 |
2006.3.26作成
小学生向けですが、Amazonのホームページで、「最強将棋道場」〜四天王が強くなるコツをキミに直伝!!〜
(小学館)という本を見つけました。その中に、四天王インタビューというコーナーがあり、上達のヒントとして
わかりやすく、大変勉強になりました。大人の方もよかったら読んでみてください。きっとためになるでしょう。
今回は、森内俊之三冠(当時)のインタビューから、少し紹介したいと思います。
四天王インタビュー ―森内俊之三冠―
本で読んで覚えた形を次の日、実戦で試せ!それを繰り返すうちに、どんどん強くなっていく
【テーマ1 強くなる方法】
Q1 森内先生の子供の頃の将棋の勉強法を教えて下さい。
森内 私は小3の時に将棋を覚えました。最初はおもに学校の仲間同士で実戦をやっていました。家に帰って本を
読んで、覚えた形を次の日の実戦に試すということを繰り返しているうちに、仲間同士の中でどんどん自分が
強くなっていくのを感じました。家では自分でプロ棋士のトーナメントを勝手に作って、その人になりきって
ひとり将棋で優勝を決めて遊んだこともあります。
学校で一番になってしまったら、もっと強くなりたくて、将棋会館の教室や道場に通いました。みんな、すごい
速さで強くなっていくので、負けないように競うようにしてたくさん勉強し、たくさん指しました。その頃は、よく
家のトイレで詰将棋をやっていて、母親にあきれられていたんですよ(笑い)。
Q2 いろんな戦法を覚えるのと、ひとつの戦法を磨くのは、どちらがよいでしょうか。
森内 考え方は人それぞれですが、私はどちらかと言うと、いろいろな戦法を覚えていく方でした。ひとつの戦法を
マスターするにも時間がかかるので、それがある程度のところまで理解が深まったら次に行くという感じにして
ました。その方が、自分の戦い方の幅も広がりますね。
Q3 詰将棋は何手ぐらい解けますか。
森内 14歳の時は「寿」という600数手のものを自力で解きました。長いけれど最後の方は循環になってくる
ので、あんまり読みは関係なくなってきて、ほとんどパズルという感じでした。ふだんは30手以下の実戦形を
おもに解いています。
定跡手順から離れてしまう。これはありがたい!自分で考えて指せるチャンス到来だ!
【テーマ2 戦法について】
Q4 これまでに一番多く使った戦法はなんですか。
森内 数えたことはありませんが、私はじっくりした将棋が好きなので、相矢倉が最も多いような気がします。矢倉
は、攻めの駒と守りの駒と役割がはっきりしているので、まず守りをガッチリ固めて、攻め駒で相手の陣地を
崩していく戦いをすればいいと思いますね。攻め合いになりやすい戦型ですので、一度攻撃を始めたら、
休まず攻め抜く気持ちが大切です!
Q5 一番強い戦法は何ですか。
森内 将棋はじゃんけんと同じで、必ず勝てる戦法というのはありません。ただ、戦法同士に相性というものがある
ので、相性を覚えることは大切です。
もしどの戦法を覚えるか迷っているのなら、最初のうちは狙いがわかりやすい戦法がいいと思います。私が
子供の頃は、急戦中飛車や石田流三間飛車、棒銀など、攻撃的な戦法を得意にしていました。
Q6 友達と将棋をしていて、最初に5八飛と指されたときはほとんど負けます。どうしたら勝てるでしょうか?
森内 気合のことから言えば、5二飛とやるしかないでしょうね!それは冗談としても、5筋というのは将棋盤の
中心ですから、中央突破をされないような駒組みをすることは大切だと思います。小学生の頃、私は5八飛車
が好きでよくやってたんですよ。でも、私が5八飛車とやったら、羽生さんに5二飛車とやられて負けたことが
あるんです!今となってはいい思い出ですね。
Q7 今、プロの世界で話題になっている戦法はなんですか。
森内 近年の戦法の多様化はめざましいものがありますが、最近は後手一手損角換り戦法が流行しています。
後手番の上にさらに一手損をするという特異な戦法なんです。後手番は、先手番に対してスピードで勝負
してももともと苦しいので、別のところで戦うという発想です。昭和初期に少し試されていた将棋で、それが
またリバイバルしました。当時は自分の好きな形にするために好まれたのですが、今回のブームは、定跡が
通用しない力将棋でやってみようという趣です。私も何局か試してみました。やっぱり二手遅れるので違和感
はあります。しかし、先手がそのスキをつくのは、実は簡単ではない。興味を惹かれる面もあるので、
流行っている間に感覚を身につけたいと思っています。
Q8 将棋教室の先生は定跡と違う手を指してきます。どうしたら勝てるようになりますか。
森内 まず将棋教室というのは上達する目的で行くところなので、自分の知らない手を指されたら、強くなる
チャンスと思えばいいのではないでしょうか。勝ち負けももちろん大切ですが、実力がつけば結果は後から
ついてきます。
定跡を覚えることはひとつの上達法ですが、本当に身につくのは自分ひとりで考えたことだと思っています。
最初はうまくいかないこともあるでしょうが、繰り返して試行錯誤を重ねているうちに、「こうしたらいいんだ!」
という手が見えてくると思います。そうするとまたひとつ壁が破れて、上に行けるんじゃないでしょうか。
だいたい、定跡をなぞっているだけでは、将棋を指していても楽しくないでしょう?将棋は自由なもの
なので、自分の考えというものを、ぜひ大事にしてほしいですね。
【テーマ3 対局中のこと】
Q9 対局中、将棋以外のことをふと考えてしまうことがありますか。
森内 名人戦で羽生さんと対局している時に、私が一手指したら彼が止まってしまって、ずいぶん考えていたこと
があります。昼休憩を挟んで5時間ぐらい動かなかったんです。その時、私も最初は自分でも読みを深めて
いたんですけど、何時間も考え続けるのはキツいですし、途中で「終わったらナニ食べようかな」とか、「じゃあ
ちょっと、散歩に行ってこようかな」などと思っていました。
Q10 何手先まで読んでるんですか。
森内 実戦では、直線的な読みは長くても20〜30手くらいです。たまに1000手読むという人もいますけど、プロ
棋戦の平均手数は100手ちょっとですので、1000手よんだら将棋が終わっちゃいますよね(笑い)。中盤戦
の難しい局面になると、「2〜3手読むのも大変!」っていう場合もありますが、3手の読みが基本なので、
それを大事にしてやっていくのが一番効率がいいと思います。
Q11 僕は将棋の途中で時々、カーッとなったり、ドキドキしたりします。森内先生は将棋を指していて、怒りたく
なったことはありますか?
森内 んー、ありますね(笑い)。自分が考えていたことと違うことをやってしまった時や、予定を急に変更して、
それが失敗した時なんかは、「なにやってるんだろう」と自分を怒りたくなる時があります。
Q12 負けたらどんなふうに気分転換をしますか。
森内 負け方にもよります。順当に押し切られて負けた時は、「ああそうか」と淡々と次に向かう感じです。自分が
あり得ないようなミスをして負けた時は、かなりショックで落ち込むこともあります。「どうしてそういうふうに
至ったんだろう?」と反省します。焼肉大食いに行ったりもします(笑い)。でも本当につらい時こそ気分転換に
逃げないで、自分ひとりで悩むしかないんです。それはプロでもアマチュアでも同じではないでしょうか。
戦略はすごく大事!対局前にひとりで戦略をねっている時間はとっても楽しい!
【テーマ4 プロ棋士になって】
Q13 プロ棋士になった時の気持ちは?
森内 四段になったのは、高校2年生で16歳でした。まず「一人前になれてよかったな」と思ったことを覚えて
います。ただ周りでは、羽生さんがもうプロで活躍してましたし、佐藤さんも先に上がってましたので、「少し
後れをとってしまって、やっと上がれたか」という気持ちもありましたね。16歳でプロになるのは、棋界全体で
見ると早いのですが、彼らに「早く追いつきたい!」という思いでいっぱいでした。
Q14 将棋を指していてうれしいことと悲しいことは、なんですか。
森内 うれしいことは、自分の構想を盤上で実現できてうまくいった時、私は戦略家だとか作戦家だとかいわれ
ます。日本語で言うとイメージ悪く聞こえるんですけど、チェスの世界などでは、当たり前のこと。将棋では
まだまだそういうのは市民権を得てない感じですね。私は戦略はすごく大事なことだと思っています。そして
指す前に戦略を考えている時間は楽しいです。
反対に悲しいことですが、んー、やっぱり自分が思うような将棋が指せなくて負ける時は、ちょっと寂しい
気分になります。
Q15 今まで対局してきた中で、一番強いと思うプロ棋士はだれですか。
森内 現役棋士では羽生さん。引退した方だと、威圧感があったのは大山先生ですね。米長先生とやったときも、
すごいオーラが出ていました。
Q16 いつまで将棋を指していたいですか。
森内 将棋は、年齢や棋力が変わっても、その時なりの楽しみやおもしろさがあることが魅力です。だから将来、
プロをやめた後も、一生続けると思います。