| 将棋 「奇跡の一手」 〜サラリーマンの挑戦〜 |
NO.1395 |
2006.7.2作成
この将棋の部屋も前号の6月11日以来、3週間ぶりの更新になってしまいました。毎日、忙しい仕事に追われ、
将棋を指している余裕などないほど、家に帰ると疲労困憊。先日、インターネットのAmazonで、「薬奏」という
おもしろい音楽CDを見つけ、購入する始末。このCDはサブリミナル効果による慢性疲労解消の音楽だそうで、
果たして疲労の回復にどれくらい効くかどうかはまだ試していません。
先週の出張の帰りに本屋に寄って、「奇跡の一手」〜サラリーマン・瀬川晶司が将棋界に架けた夢の橋〜という
本を見つけました。早速読んでみて、勇気を与えられました。その本のエピローグの一部を紹介します。
平成17年12月17日。都内の超一流ホテルで「瀬川晶司新四段を祝う会」が開かれた。瀬川は黒紋付き、
羽織袴の晴れ姿だった。千恵子さんも和服姿で参会者を出迎えた。会場にはプロ棋士や「プロジェクトS」の
メンバーをはじめ、130人を超える関係者が駆けつけていた。主役は晴れやかな表情で、会う人会う人に頭を
下げていた。
羽織袴の主役を脇に、米長会長が総括する形で祝辞を述べた。
「プロ側も全力投球をした。そのなかで瀬川さんの3勝2敗の成績は立派。今回特例を認めたのは将棋が強い
だけではなく、たくさんの有志に応援される人柄があったからこそ。その人望を生かしてアマとの架け橋になって
ほしい。ただ、最終第6局で私の実力を示せなかったことだけが心残り」。最後は会長一流のユーモアで締め
くくった。
壇上に立った有志の一人は瀬川問題をこう例えた。
「瀬川さんの発言は将棋界に一石を投じた、どころではない。”隕石”を投じたのです」
「プロになりたい」。一アマチュアの大胆発言に、伝統文化の将棋界は激震した。賛成棋士も反対棋士も、何度も
議論を繰り返した。マスコミの喧噪も半端ではなかった。嘆願書提出、61年ぶりのプロ編入試験実施、
サラリーマンプロ誕生―。ことあるごとにテレビや一般紙が破格の扱いで取り上げた。誰もこんな騒動になるとは
予想していなかった。いや発言した本人が一番予想していなかった。徒手空拳で訴える姿。現在の地位を捨て、
少年時代の夢に再チャレンジする姿。みんな勇気と一途さに心打たれた。
6番勝負を通し、将棋界は大いに盛り上がった。こんなフィーバーは羽生七冠以来だ。森下理事は「今の時代、
閉塞感があって夢が持てないじゃないですか。サラリーマンの挑戦は、多くの方々を勇気づけたのでしょうね」と
振り返る。その活劇ドラマの主役を瀬川は見事に演じきった。
特例容認を快く思わないプロ棋士や奨励会員は依然、少なくないように思う。しかし、そういう者でも「大局的に
見れば、将棋界にとってプラスだった」という意見は多い。一アマチュアの発言がマスコミや世論を巻き込み、
さまざまな意義を考える契機になった。瀬川問題は近代将棋史に刻まれる出来事といっても過言ではない。
先駆者、瀬川が残した功績は大きい。…
この本から勇気を与えられ、何か疲労回復に効いたような気がします。瀬川さんに負けないよう、あきらめずに
続けていきたいと思います。